◆国際「成人力」調査で日本が好成績

経済協力開発機構(OECD)が加盟22カ国・地域と非加盟2カ国の計24カ国・地域を対象に2011~12年に実施した「国際成人力調査(PIAAC)で、日本は出題された3分野中の2分野(読解力、数的思考力)で第1位になった。文部科学省は「学校や職場などの教育的機能が高いことを示している」と分析している。しかし、一方で「ITを活用した問題解決能力」は10位にとどまるなど、ばらつきも見られた。

調査の目的は、社会生活で求められる能力の習熟度測定が目的とされる。対象国から無作為で抽出した16~65歳計約15万7000人が参加。日本からは5173人が調査に応じた。具体的には調査員がパソコンを持参して対象者宅を訪問。パソコンの画面で解答してもらうが、パソコンが使えない人は問題用紙を使って解答した。

文章や資料を読み、理解する能力をみる読解力の分野では、日本は296点(500点満点)で、OECD加盟国の平均は273点。2位はフィンランド(288点)、3位はオランダ(284点)だった。習熟度レベルを6段階に分類すると、最も高い「レベル5」は1.2%でフィンランドの2.2%を下回ったが、「レベル4」21.4%、「レベル3」は48.6%で、参加国中最も多かった。

数学的な情報を判断し、問題を解決する能力をみる数的思考力の分野では、日本(288点)、フィンランド(282点)、ベルギー(280点の順(OECD平均269点)。日本は、習熟度の「レベル3」以上に62.6%が位置し、参加国中最多だった。

しかし、パソコンなどを使いこなす「ITを活用した問題解決能力」をみる分野では、習熟度が一定のレベルに達している人の割合は35%で10位。この分野の上位3カ国は、スウェーデン(44%)、フィンランド(42%)、オランダ(42%)だった(OECD平均34%)。対象者がパソコンを操作できなかったなどの理由で調査を受けられなかった人が36.8%(OECD平均24.4%)いたことが影響したと見られている。

今回の調査結果に教育ジャーナリストは「義務教育の水準の高さをうかがわせる。また、成人後も、新聞や雑誌などを読んでいること、企業内での研修も高い能力を維持する一因だろう」と分析する。一方、IT関係での成績がふるわなかったことについては、「IT教育の開始が遅かったことや、携帯、スマートフォンに頼り、キーボードの扱いに不慣れなことなども影響している可能性がある」と指摘している。