減少続ける給与総額

厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査(速報)によると、2012年にサラリーマンら被雇用者が受け取ったボーナスや残業代などを含む月平均の給与は31万4236円(前年比0.6%減)だった。2年連続の減少で、統計を取り始めた1990年以降、最も低くなり、サラリーマン家庭の家計の厳しさを物語るものになった。昨年末の総選挙で政権が交代し、経済は上向き傾向にある。この低水準がどこまで改善されるかが注目されそう。

毎月勤労統計調査は、厚労省が従業員5人以上の事業所約3万3000カ所を対象に、各月の賃金、労働時間などの動向を調べるもの。結果は毎月公表されるほか、政府が景気の状況を判断する基礎データになる。さらに、雇用保険や労災保険の改定時には目安と利用されている。

公表結果によると、月平均の給与がピークだったのは、1997年の37万4236円(確定値)で、2012年は、これと比べ約5万円減少したことになります。

これまで最も低かったのは、リーマン・ショックの影響が顕著に出た2009年で、31万5294円だったか。

内訳をみると、基本給など所定内給与は前年比0.1%減の24万2887円で、7年連続の減少になった。残業代などの所定外給与は前年比2.4%増の1万8763円。ボーナスなどの特別に支払われた給与は前年比3.1%減の5万2586円で、3年ぶりに減少しました。

一方、労働時間をみると、月平均の総実労働時間は147.1時間(前年比0・5%増)で2年ぶりの増加。このうち所定内労働時間は136.7時間(同0.5%増)、所定外労働時間は10.4時間(同0.5%増)だった。

バブル崩壊後、月平均の給与が最低水準になった最大の原因は「パートの増大にある」との見方が一般的です。一般労働者とパート労働者を合わせた「常用労働者」は前年比0.7%増の4575万3000人で、9年続けて増えている。パート労働者の占める割合は前年比0.56ポイント増の28.75%になった。

労働ジャーナリストは「給与の少ないパート労働者の増加が、全体の給与を押し下げた形といえます。それに加え、低迷する製造業のボーナスが低水準だったことや、世界経済の失速などが加わり、過去最低の数字になったのだろう」と分析しています。

また、経済ジャーナリストは「経済が好転しても、パートの増加という産業構造の傾向が一気に変化するとは思えない。パート労働者の給与水準の改善など検討すべき課題は多い」と話している。