改正生活再建支援法 14日施行

公明新聞より—

赤羽一嘉党災害対策法制検討PT座長、衆院議員に聞く

 地震などの被災者に対する支援制度を、被災者がより分かりやすく使いやすい内容にする改正被災者生活再建支援法が14日、施行された。同改正法は“ねじれ国会”である今臨時国会で、公明党主導による与野党合意によって成立した第1号法案でもある。法改正に中心的役割を果たした赤羽一嘉・党災害対策法制検討プロジェクトチーム座長に聞いた。

――改正被災者生活再建支援法が施行されました。

赤羽一嘉 公明党災害対策法制検討プロジェクトチーム座長 被災者生活再建支援法そのものは1995年1月に起きた阪神・淡路大震災を契機に、地震や台風など自然災害の被災者の生活再建、自立を支援するため、98年5月に成立した法律です。 それまでの被災者支援は食料や仮設住宅などの“現物支給”が中心でしたが、この法律は生活再建の支援へと内容を拡充する画期的なものでした。今回の改正で、住宅再建に利用できるなど、さらに利用しやすい制度に改善されました。

――具体的に、どのように制度が改善されたのですか。

 赤羽 主な制度改正点は二つあります。 一つは、これまでは使途を細かく限定した上で、必要額を積み上げて支給するという内容だったものが、住宅再建の方法に応じて定額を支給する方式(定額渡し切り方式)に変わりました。二つ目は受給者の年齢・年収要件を撤廃したことです。

 被災住宅の解体撤去費などに最高200万円を支給する居住関係経費に関する政府の調査では、旧法で実際に支給を受けた世帯への平均支給額は、支給限度額の約28%しかありません。制度が複雑で利用しづらかったからです。全国知事会からも利用に際して「被災者・被災自治体双方の負担が非常に大きい」と指摘されていました。

――具体的な支給内容は。

赤羽 改正法では、罹災証明で全壊世帯に100万円、大規模半壊世帯に50万円を支給します。敷地被害などのため、住宅を解体せざるを得なくなった世帯も、全壊世帯に準じます。この100万円、あるいは50万円をベースとして、その上に(1)住宅を建築・購入する世帯には200万円(2)補修する世帯には100万円(3)賃借する世帯には50万円――を契約書の提示だけでそれぞれ上乗せして支給します。

 改正前のような「住宅の建設に使ってはダメ」といった使途の制限はありません。生活再建の態様によって支給される今回の方式は、多くの被災者に喜んでいただけると思っています。

――年収要件の撤廃について。

赤羽 旧法では、年収要件は原則500万円以下で、世帯主が45歳以上は700万円以下、60歳以上は800万円以下と、年齢によって支給対象となる年収要件が異なっていました。このため所得のある人が複数いる家庭が対象から外れてしまうケースがありました。支給金は見舞金としての性格も持っているので、年齢・年収要件を撤廃しました。

 今回の改正で被災者にとってシンプル(簡素)でスピーディー(迅速)な制度に再構築することができたと思います。 ――申請の特例も設けられましたね。 赤羽 今年起こった(1)能登半島地震(2)新潟県中越沖地震(3)台風11号および前線による災害(4)台風12号による災害――の被災者のほとんどは、まだ申請をしていません。この4災害に関しては、11月16日の改正法公布以降に申請した人は、新制度で申し込めるよう、特例を設けています。

 ――今後の課題は何か。

赤羽 今回の改正法にも、「半壊家屋への支援がない」という指摘があります。この法律は決してオールマイティーではありません。法に基づく制度が依拠する、都道府県などが拠出している基金は、全壊家屋の世帯の生活再建を予定した資金規模です。半壊家屋世帯への支援には、災害救助法に基づく応急修理などがありますが、使途が限定されるなど十分でありません。

 半壊家屋支援は、災害関係法制全体を見直す中で検討し、整備していかなければならない課題と考えています。