衆議院予算委員会(2018年1月29日)

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
本日は、平成二十九年度補正予算案の内容につきまして質問させていただきます。
この補正予算案につきましては、我が国が直面をしております喫緊の課題であります、災害復旧、防災・減災対策、また中小企業に対する具体的な支援が盛り込まれておりまして、早期の成立と執行を強く求めたいと思います。
まず、この補正予算案に対する質疑に先立ちまして、本年年頭から各地で発生をし、また多くの国民の皆様が大変不安に思われている幾つかの事案について質問させていただきます。
最初に、本白根山の火山災害でございます。
今回の火山災害におきまして、訓練中にお亡くなりになられました自衛官の方に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われました方々、そして御家族の皆様に対しまして、心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
昨日実施をされました上空からの観測では本白根山付近には噴煙は認められなかったものの、政府として引き続き万全の警戒態勢を整えていただきたいということを、まず強くお願いをしたいと思います。
また他方、風評被害も広がってしまっております。報道によれば、噴火の翌日、二十四日の段階で、草津温泉旅館協同組合加盟の八十六の旅館で、実に延べ一万四千百三十三名の宿泊のキャンセルが出たということでございます。
この現地に研究拠点を置きます東京工業大学の火山流体研究センターの野上教授は、噴火地点から温泉街は五キロ離れており、噴石が飛んでくることはあり得ない、温泉街には何の問題もない、こういう指摘もされております。災害のたびに風評被害というのは大変大きな問題でございますが、政府として、常に正確な情報を発信していただくことを重ねて強く求めていきたい、こう思っております。
きょうは、この災害対応で、今回最も重要な初動対応について、一つ問題提起をいたしたいと思います。
パネルをごらんください。また、資料も配付させていただいております。
今回、この一月二十三日の時系列を見ておりますと、十時二分に本白根、鏡池付近で噴火が発生をいたしました。一キロ以上飛散する噴石が確認された。その三十分後、十時半に群馬県の災害対策本部が設置をされました。そして、その二十分後の十時五十一分に、群馬県知事より自衛隊の災害派遣要請がなされたわけでございまして、結局、二百八十名、七十五車両、九航空機が出動したというわけでございます。そして、それからその約十五分後に、噴火警戒レベル、これは気象庁が定めているわけでありますが、一から二に引き上げられました。十一時十分には、群馬県のDMATの調整本部が設置をされまして、二十隊が活動に入り、ドクターヘリも二機飛んでおるところでございます。そして、その更に四十分後に、気象庁の噴火警戒レベルが、レベルツーからレベルスリーに引き上げて、入山規制がかけられた。
これをよく見ておりますと、毎回のことなんですが、災害の現場は状況が刻々と悪くなっているということがよくわかります。現場は、私、これは群馬県は大変よくやったと思いますが、すぐ現地対策本部を設置して、災害要請を行っているんですが、この災害派遣要請をした段階で、警戒レベルは一なんですね。これは明らかに、警戒レベルの決定、変更が遅いんですよ。入山規制されていない。それを知らずに入山される方が出なかったからよかったものの、されてしまっては、二次被害、三次被害が拡大してしまった危険性は極めて大きいと思っております。
どうしても現地の情報が、中央に情報がなかなか伝わらない。タイムギャップというのは大変大きな被害の原因になるということは、これまで繰り返してきたことだと思っておりまして、この気象庁の警戒レベルの決定というのは非常に重要なので、このことの決定をするときに、政府部内での情報が共有されるように、そして現地の情報があまねく入ってくるように、そうした体制をもう一度見詰め直していただきたいと思いますが、総理大臣の御見解をいただきたいと思います。
石井国務大臣 このたびの草津白根山の噴火によりましてお亡くなりになられた自衛官の方に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
災害時の初動対応を行う上で、気象庁の情報が迅速かつ的確に発表されることは大変重要であると認識をしております。
今回の噴火では、今パネルでお示しいただいたように、気象庁において、一月の二十三日十時〇二分に噴火発生後、十時〇五分に噴火警戒レベルを一から二に引き上げ、さらに、十一時五十分に噴火警戒レベルを二から三に引き上げたところであります。
この草津白根山の噴火は、近年活動が活発でありました白根山の湯釜付近ではなく、有史以来噴火のなかった本白根山付近で発生をいたしました。さらに、火山性地震や地殻変動に噴火の前兆と言えるような特段の火山活動の変化がないまま発生をしたものでございます。
こういった状況の中で、噴火警戒レベルの引上げの判断に当たりましては、レベル一から二への引上げでは噴火発生の事実及びその発生場所の特定、レベル二から三への引上げにおきましては、噴火の規模、特に噴石が飛散する範囲の特定が必要でありまして、今回は、監視カメラで直接噴火の状況を捉えることができなかったため、噴火警戒レベルの引上げの判断に一定の時間を要したところであります。
しかしながら、地元の自治体や、地元で観測活動を行っている東京工業大学と情報交換を密にいたしまして、できる限り速やかな判断を行ったものと考えております。
ただ、今回の噴火を踏まえまして、気象庁及び関東地方整備局におきまして、新たに監視カメラ等を設置し、本白根山の観測体制を強化するとともに、現地に職員を派遣をいたしまして、地方公共団体との緊密な情報共有の体制を構築をいたしました。
関係省庁及び地方公共団体、研究機関等と緊密に連携をいたしまして、噴火への対応に万全を期してまいりたいと考えております。
赤羽委員 今回の噴火は水蒸気爆発で、前兆がなかなかわからなかったというのは、これはよくわかります。しかし、私が申し上げたいのは、現地の群馬県では大変な状況になっていて、それなりに手が打たれていたという事実を、やはり情報を共有できるように、今後の教訓として、ぜひしていただきたいということです。
今、活火山の対策特別措置法では火山災害警戒地域というのが指定されていまして、四十九の火山の周辺、百五十五の市町村で避難計画の策定が義務づけられているんですが、実は、策定されているのは三分の一にしかすぎないんですね。今回も、この対象であったのは五つの町村があるんですけれども、嬬恋村一つしか避難計画が策定されていないというのが実態であります。
こうしたことも踏まえて、今回はこういった状況でありましたけれども、より大きな被害にならないように、ぜひ政府としてもう一度見直しをしていただきたい、これが私の趣旨でございます。
次に、先週からの大雪災害について質問させていただきたいと思います。
この全国各地での大雪は、全国各地で大変な大渋滞を引き起こしました。その結果、我が国の物流機能を著しく低下をさせてしまいまして、食材が仕向け地に届けられなかった事案が大変多数発生をいたしました。また、秋の長雨の影響で高騰している野菜の価格も下がらない現状が続いております。
こうしたことによって、特に小学校の学校給食ですとか高齢者施設の食事で大変な問題が起こっておりまして、用意ができないですとか、安い食材を使わなければいけない、メニューを変更しなければいけない、こうした問題が発生をしております。
こうした問題の解決は、恐らく国交省、厚労省、文科省、農水省、警察庁等々、さまざまに、多岐にわたっておりますので、この点も政府として、総合的な、こういった事態を二度と繰り返さないという観点から、政府としての御見解をいただきたいと思いますが、総理、いただけますでしょうか。
安倍内閣総理大臣 今月二十二日からの大雪において、首都圏では首都高速道路の七割が交通どめとなり、その通行再開に四日間を要するなど、物流機能に影響があったものと認識をしています。
物流は我が国の国民生活や経済活動を支える基盤であり、平常時及び災害時を問わず、その機能を確保することが重要であります。
政府としても、関係省庁で連携の上、雪害対策に総合的に取り組んでまいりたいと思います。
赤羽委員 ぜひ、また大雪も、予報もあるようですから、よろしくお願いしたいと思います。
次に、大変大流行してしまっておりますインフルエンザについて確認をしたいと思います。
厚生労働省の二十六日の発表では、一週間、十五日から二十一日の推計患者数は約二百八十三万人ということでございまして、これは調査を始めた一九九九年四月以降最多の記録となっております。
今回検出されたウイルスは、この一カ月余りはB型の感染が拡大しておって、患者数の急増につながったという報道もございますが、国民の皆様の間では、このワクチンは本当に十分に蓄えられているのだろうかとか、大変な心配、不安も起きておるところでございまして、政府にとって、今の現状認識と対策について、厚生労働大臣からお答えをいただきたいと思います。
加藤国務大臣 赤羽委員御指摘のように、このインフルエンザはまさに猛威を振るっているところでございますので、まずは国民の皆さんに外出後の手洗い、あるいはいわゆるせきエチケット、せきをどんどんどんどん拡散させないという予防策にお努めいただくとともに、仮にぐあいが悪いという場合には速やかに医療機関を受診をしていただいて、お医者さんの指示に従って対応していただきたい、これは周知徹底を図りたいと思います。
インフルエンザワクチンの供給については、ことしは例年よりおくれたという事情がありましたけれども、昨年十二月の段階ではワクチン供給量が約二千六百四十三万本、昨年の使用量約二千六百四十二万本を上回る供給量を確保しているところでございます。
赤羽委員 今のワクチンに関しての不安というのはどうしても国民の間で拭い去れない部分もあると思いますので、厚生労働省から正確な情報をより強く発信していただけることを期待しておきたいと思います。
四つ目のトピックとして、大阪大学の入試ミスについて、この事案について質問したいと思います。
昨年二月に実施をされました大阪大学、理科系の全ての学科で、物理の試験科目でミスが生じた結果になった、結局、合格したはずの三十九名に不合格の判定を出してしまったという事案がございました。
これは、結果が、一年近くたったときに、それが間違っていたということが判明して合格通知をもらって、一年近く経過した段階で改めて合格通知をもらっても、進路の変更というのはなかなか難しいというのが現状でありまして、青年の人生を大きく傷つけてしまったような今回のことは、断じてあってはならないと思っております。
外部からの指摘も六月、八月、十二月とあって、最初は自分たちで、何と言ったらいいんでしょう、それを公開しなかったということが、こういったこじれた原因になってしまった。
これは私は、大学任せにしているということは間違いだと思います。文部科学省としてしっかりこれを引き取って、こうした第三者からの、外部からのクレームに対しては文部科学省の責任でしっかりやらなければいけないということを私は強く思います。
文部科学大臣の断固たる対応を求めたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
林国務大臣 今回、大阪大学で、公平公正であるべき入学者選抜のミスが生じてしまったことは大変遺憾でございます。
今委員からもお話がありましたように、昨年の六月、八月、十二月に外部からの指摘があったにもかかわらず、一年近くもおくれて三十人の新規合格者等が生じたことは重大な事態である、こういうふうに考えております。
入学者選抜におけるミスの防止や解答例の開示は第一義的には大学が対応すべきことから、通知や諸会議等の場において再三注意喚起を図っているところですが、今回の事案を踏まえまして、国公私立の全ての大学に対して、改めて、ミスの防止及び外部からの指摘があった場合を含めた早期発見及び適切な対応を促す通知を発出いたしたところでございます。
さらに、委員からの御指摘も踏まえまして、速やかに文部科学省の中に専用の窓口を設けることといたしました。さらに、大学及び高等学校の関係者の御意見も踏まえて、ミスの防止それから解答例の開示など、適切な対応のためのルールづくりを進めるとともに、各大学の取組状況を調査、把握をするなど、入学者選抜のミスの防止や迅速な対応のために全力で取り組んでまいりたいと思っております。
赤羽委員 ありがとうございます。
八十六校の国立大学のうち解答欄を開示しているのは、一部も含めてでも四十二校にすぎないんですね。半数以上が公開しないということは、うがった見方をすると、同じような事案が起きているんじゃないか、発覚していないんではないかということを言われる余地があると思いますので、ぜひ今の答弁に沿って御検討いただきたいと思います。
それでは、補正予算案について入りたいと思いますが、まず、防災、減災でございます。
昨年七月の九州北部豪雨災害では、死者、行方不明者が四十二名、大変大きな被害が発生してしまいました。一時間で百ミリを超える猛烈な局地豪雨も今はもう珍しくなくて、都道府県管理の中小河川が相次いで氾濫をし、また、多数の山腹崩壊が起こって、大量の流木により甚大な被害が起きておるわけでございます。
この九州北部のときにも、公明党は、国会議員そして地元の地方議員が現場に急行いたしまして、被災自治体を調査し、早期復旧及び今後の再発防止の提案を実施をさせていただいたところでございます。その提案は、全国約二万の中小河川の総点検を行うべきだ、その結果に基づいて、それぞれの地方自治体が計画的な豪雨対策を策定する、そして、その策定が絵に描いた餅にならないように、国としても、防災・安全交付金の予算の大幅増額計上をしていくということでございます。
国交省は、昨年九月から十一月、全国の中小河川の緊急点検をしていただきました。林野庁と連携をして、上下流一体となった対策を中小河川緊急治水対策プロジェクトとして策定をし、今後三年間で取り組むということでございます。その内容は、このパネルとか、資料に配ったところでございます。
上流の流木による被害の危険性については、透過型砂防堰堤の整備ですとか、町並み、被害が広がるようなところでは、河道の掘削、堤防の整備ですとか、また、それ以外にソフトの対策として、いざあったときの危機管理型の水位計の設置、これは安価な洪水対応のものを設置している。この三つ、大変いいプロジェクトだと思っております。
金額も、総事業費約三千七百億円の事業のうち、今回の補正予算でその六割が確保され、当初予算で約一割と、計七割が今回の二つの予算案で確保されたところでございます。こうしたプロジェクトを着実に実行すれば相当の効果が期待できるものというふうに私たちも期待をしておるところでございます。
そうした意味で、来年度以後の、三十一年度、三十二年度以後の予算確保もしっかり行っていただきたい。来年度、補正予算が組まれるかどうかわかりませんので、当初予算の中でしっかり私は位置づけるべき問題だ、こういうふうに思っております。
しかしながら、きょう申し上げたいのは、これで十分だというわけではないということでございます。
お配りした配付資料三を見ていただければと思いますが、実は、近年、集中豪雨災害で目立つのは、鉄道の橋脚の流失なんですね。この七年間で二十七件、全国で発生をしております。
この鉄道の橋脚が流されると、復旧の再開まで大変な時間がかかります。その結果、地域住民の皆さんの生活の足、また観光の足が滞って、大変マイナスの影響が続いているのが実態です。また、この鉄道の橋脚というのは所有者が鉄道事業者であるので、その対応というのは鉄道事業者任せになってしまっている。ですから、今回つくられた中小河川緊急治水対策プロジェクトの中でも、この既存不適格の鉄道橋梁対策というのは十分なものではないんですね、残念ながら。
ただ他方で、この既存不適格の鉄道橋をかけかえを進めるということは、実は、流下能力にも大変影響が大きくて、河川管理上のメリットがある。私は、ぜひ、河川管理者は積極的に鉄道事業者と連携をとって、河川の対策工事として既存不適格の橋梁への対応を進めるべきだというふうに考えております。これはぜひやっていただきたいんですね。
このパネルも見ていただけるとあれなんですが、今回、九州北部でも、花月川の大変大きな鉄道橋梁が五つあるんですが、そのうち四つが根こそぎやられているんです。これは老朽化で倒れたわけじゃなくて、流木がその足元を削って、そして立っていられなくなって流される。それが放置されるので、川の流れに重大な影響が出る。こうしたことは、鉄道事業者と河川局、ぜひ協力をしていただきたいのが一つです。
そして、もう一つの問題は、近年、これだけ大規模な災害が発生し、その復旧事業が行われる、改良復旧をしていこう、そうすると、限られた国交省の予算が相当それに食われて、本来やらなければいけない予防的な河川整備ですとか治水対策、大変滞ることが懸念されるところでございます。
こうした意味も踏まえて、この河川対策というのは大変重要だという観点から、国土交通大臣には、私は、予防保全のための予算を十分に確保して総合的な対策を計画的に着実に進めるべきだと、そのことを、ぜひ麻生財務大臣を説得して、来年度以後、当初予算で確保していただきたい。その大臣の御決意をよろしくお願いしたいと思います。
石井国務大臣 河川管理者といたしましては、河川管理施設等構造令に不適合の橋梁につきまして、占用の更新手続等の機会に当たり、橋梁を管理する者に対して、構造令に適合したものに是正を促しております。一方で、治水安全度向上の観点から優先度が高く、河川の整備と一体的にかけかえを必要とする橋梁については、河川管理者が主体的に対策を実施しているところであります。
また、一たび水害が発生いたしますと、その復旧復興には多大な時間と費用を要するだけではなく、社会経済活動にも大きな影響を与えますので、それを未然に防止する予防的な治水対策が重要であります。
国土交通省といたしましては、昨年十二月に策定しました中小河川緊急治水対策プロジェクトを着実に推進するとともに、それらを含めて、地域の安全性を早期に向上させるために必要な予算をしっかりと確保して、予防的な治水対策を進めていきたいと考えております。
赤羽委員 公共事業というと、とかく色眼鏡で見られるところもありますが、これは大切な、国民の命を守るために大事な公共事業でありますので、しっかりと我が党としても進めていきたいということを申し述べさせていただきたいと思います。
次に、実は私自身も阪神・淡路大震災で住む家を失った被災者の一人であり、それから常に大規模災害は現場に足を運びながら、この二十余年間、仕事をしてまいりました。その中で一番思うのは、大災害が起こったときの、その復興で一番大事なことというのは、被災者の皆様の人としての尊厳を守るということだと思うんです。
真面目な国民として一生懸命納税をし、仕事をしてきた、その人が、あるとき、三十秒足らずの災害で全てのものを失った、それは当然、福祉的に何かをして施してあげるという態度ではなくて、当然の権利として国民の権利を復活させるのが私は国の責任だ、こう考えております。
その中で、いろいろ復興対策というのは改善をされてまいりましたけれども、残念ながら、災害が発生した直後に、学校の体育館が避難所となって、そこに雑魚寝をして、大変劣悪な環境で当面を過ごすというのは、これはもうずっと繰り返してきているんですね。そこを何とかしなければいけない。私は、やはりこの避難所の期間というのはできれば一週間、その中で次のステップの住宅に移ってもらうということが大事だ、そう決めて全てに取りかかることが大事だと思っております。
応急仮設住宅も、これまでは建設型でした。神戸の場合は、土地を探し、水回りを設定し、あんな広大な土地はなかなかない、学校の校庭を使ったりして、いろいろなマイナスがありました。つくった住宅も、大変環境がよくないものが多かったわけであります。
最近の大型の災害では、借り上げをする、借り上げ住宅に移っていく。私はもう、応急仮設をつくるのも今や七百万円ぐらい使うわけですから、借り上げ住宅に入ってもらう。これは住環境もいいですし、手間暇も全然違います。応急仮設住宅というのは、やはりつくって入るまで、一カ月で入れれば最短ですね。神戸の場合は半年近くまでかかった例もございました。そういう意味で、ぜひ、政府の方針として、応急仮設住宅は借り上げ型に特化していく。そのために、日ごろからストックしておかなきゃいけないんですね。
国交省が平成二十四年度からやっていただいております、不動産関係団体と地方自治体の災害協定を結ぶということをやっていて、私が知る限り五十万戸ぐらいはリストアップされているんですが、これは実は都道府県によって全然ばらばらなんですね。大阪府では十一万二千四百五戸、片や沖縄県では十一戸とばらつきがあって、こうしたことはもう一度見直していただいて、各都道府県、必要な避難計画に合わせたストックは持つということを号令をかけるべきだと思います。
その際に、なかなか住宅もありませんので、今、全国八百万戸と言われている空き家をぜひうまく使っていただきたい。この空き家をうまく使いながら、必ず、そうした、いざというときにはすぐ借り上げ住宅が確保できるような対策をとるべきだと思いますが、石井国土交通大臣に。
石井国務大臣 委員御指摘のとおり、災害時に被災者の応急的な住まいを迅速に確保するために、空き家や賃貸住宅の活用を図ることは非常に重要であると考えております。
国土交通省におきましては、内閣府と連携をいたしまして、都道府県及び関係団体に対しまして、民間賃貸住宅の被災者への提供に関する協定の締結の促進等について通知を行うとともに、応急借り上げ住宅の円滑な提供に関する手引を提供するなどを行ってきたところでありますが、委員御指摘のとおり、地域によってかなり差もあるようでございますので、今後も積極的に取り組んでいきたいと考えております。
また、昨年十月に施行されました改正住宅セーフティーネット法に基づきまして、空き家等を活用しました被災者などの住宅確保要配慮者向けの住宅の登録制度を開始をしたところであります。
この改正住宅セーフティーネット法は、供給促進計画の策定を地方公共団体に促すとともに、関係省庁、都道府県等、関係団体と協力をしながら、空き家や賃貸住宅の所有者に働きかけを行いまして、災害時に活用可能な住宅の登録を進めてまいりたいと考えております。
赤羽委員 この空き家問題、なかなかいい解決方法がないんですが、このことをしっかりと災害に絡めて取り組んでいただきたいと強く申し上げておきたいと思います。
次に、福島復興について質問いたします。
福島イノベーション・コースト構想について質問したいと思いますが、私自身、この福島第一原発の現地対策本部長を約二年務めさせていただきました。当時、被災地を奔走しながら多くの原発被災者の方々と触れ合う中で、皆さんが、ふるさとを追われて、先の見通しが立たない避難生活を強いられている、何一ついいことがない、夢も希望も持つことが困難なこの浜通り地域の方々に何ができるのかということをすごく悩み、いろいろなことを思いました。
二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックのときに、世界じゅうから訪れる人々がこの浜通り地区に来ていただいて、世界の皆さんが瞠目するような、ふるさと浜通り地域の再生のビジョンをつくらなければいけないということで、福島イノベーション・コースト構想をつくらせていただきました。
当時は、政府では全く相手にされない、これにかかわると金が随分取られるみたいなことで、まさに絵に描いた餅でありましたが、私は大変感謝をしておりますが、安倍総理御自身がこの構想について大変力強くサポートしていただきました。
昨年は、この福島イノベーション・コースト構想が法定化をされ、そして、この国会では、本構想は福島復興の切り札と御発言をいただき、各省庁も堂々とこのことを国の政策として、していただいている、大変感慨深いものがございます。
山口代表の質問でも取り上げられましたが、このいろいろあるプロジェクトの中で、今、ロボットテストフィールドというのが具体化しております。二〇二〇年には、世界ロボットサミットがこの地域でも一部開かれます。
ぜひ、経済団体もなかなかまだ認知をしていないので、このロボットテストフィールドというのはオンリーワン、世界一のものでなければいけない。それが私は、日本にとっても大きなプラスになる、そのことをぜひ総理みずからのリーダーシップで、経済界の皆様に広く普及啓蒙していただきたい。私は、間違いなく、これができれば、地元の人が戻るだけではなくて、新しいさまざまな人たちが集まり、雇用が生まれ、この浜通り地域の再生になるものだ、まさに切り札だ、こう考えておりますが、総理の御見解と御決意をよろしくお願いいたします。
安倍内閣総理大臣 福島イノベーション・コースト構想は、まさに福島復興の切り札であります。政府一丸となってこの構想を着実に実現をし、そして、福島の浜通りに、ロボット、水素、再生可能エネルギーなど、世界最先端の産業を創出する考えであります。
特に、赤羽議員には大変粘り強く取り組んでいただきまして、立ち上げ段階から取り組んでこられた福島ロボットテストフィールドは、さまざまな分野のロボットやドローンの実証試験と性能評価が一カ所でできる、世界に類を見ない拠点であります。この夏までに、南相馬市でいよいよ一部が開所します。
さらに、この施設も利用して開催される二〇二〇年のワールドロボットサミットでは、国内外から最先端のロボット技術が集まる機会を生かし、福島に未来のロボット産業の集積を図りたい。ちょうどこれはオリンピック、パラリンピックの年でありますが、ここでまさに世界最先端のロボットの技術が集まるわけであります。そのために、研究開発拠点の整備、人材育成などを引き続き強力に進めてまいります。
福島の復興なくして日本の再生なし。この強い決意のもとに、これからも国が前面に立って、福島イノベーション・コースト構想の実現を始め、福島の再生に全力で取り組んでまいります。
赤羽委員 どうもありがとうございます。
残りの質問は、午後に回させていただきたいと思います。
河村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
正午休憩
――――◇―――――
午後一時開議
河村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。赤羽一嘉君。
赤羽委員 これから午後二十分間、今回の補正予算案の目玉の一つでもございます、まず、中小企業支援政策について質問させていただきたいと思います。
我が国の経済は、足元で二十八年ぶりとなる七四半期連続のプラス成長、また、有効求人倍率を始めとする各種指標を見ても、着実に改善していることは、もうこれは事実でございます。
家計所得をふやすために賃上げの取組が重要ということで、総理みずから経済団体に三%の引上げを要請していただいている。賃上げを更に持続的に力強いものにしていくためには、我が国経済を縁の下で支え、また雇用の七割を占める中小企業、小規模事業者の生産性向上が今後の鍵だというふうに思っております。
私ども公明党は、これまでも、設備投資やITツールの導入を支援するためのものづくり補助金、またIT導入補助金の拡充を推進してまいりました。
私の地元の神戸市長田区には、伝統的な製造業でございますケミカルシューズ業界がありますが、その中でも、このものづくり補助金を活用して最先端の機械を導入し、高品質の神戸シューズというブランド化に成功もしたわけでございます。また、この企業の中には、世界のトップスポーツ用品メーカーの製造また開発拠点となった企業も、実は昨年出現いたしました。
また、中小企業を税制面から支援するために、今年度から新たに、設備投資により取得した償却資産に係る固定資産税について、平成三十年度税制改正大綱で、市町村の条例で定める場合、割合次第ではこの課税標準をゼロにすることも可能にしていると、大変踏み込んだ新しい制度の創設もするわけでございます。
他方、問題は、経営者の高齢化が進む中で、中小企業の事業承継が大変な大きな問題となっております。
会社は黒字だけれども後継者がいないので廃業してしまうという企業が近年急増しております。このことは、日本全体の経済や雇用、さらには物づくりの技術の承継などにも深刻な影響を及ぼしかねない重大な事態でございます。
今回、来年度の税制改正の議論の中で、与党税調また財務省、総務省の中で大変難しい議論をいたしましたが、経済産業省も含めてですね、今回のこの事業承継に関する雇用要件の見直しも、これは徹底してやったというふうに思いますし、今後十年間、承継時の贈与税、相続税を全額猶予して、承継時と売却、廃業時の納税額の差額を免除するなど、私は大変使い勝手のいい新しい制度ができたというふうに思っております。
そこで、経済産業大臣に御質問したいわけでございますが、今回、先ほど申し上げました新しい制度の、償却資産に係る固定資産税の特例の新制度は、やはり地方自治体にとりましては固定資産税というのは大変、基幹税でありまして、なかなかちゅうちょするという気持ちもよくわかります。ですから、地方自治体にとっても大きなメリットがあるということをどうやって理解をしていただけるのかというのが大変重要なポイントだというのが一つ。
また、今回さまざまな踏み込んだ支援制度を創設するわけですけれども、毎回、現場に行くと、なかなか中小企業の現場では御理解いただいていない、宝の持ち腐れになっているケースがあります。
ですから、ぜひ、今回の制度、成立をしたならば、中小企業の認定支援機関で、たくさんいらっしゃいます、一生懸命やっていただいているTKCという税理士会のグループですとか、又は信金、信組ですとか、やはり中小企業の皆さんに一番身近なところにしっかり周知徹底、情報共有、発信をしていただくということが大事だというふうに思っておりますが、地域経済を牽引する中小企業の生産性革命と事業承継の重要性について、世耕大臣の御見解をいただきたいと思います。
世耕国務大臣 今委員御指摘のように、今回、これから国会に提出をさせていただく生産性革命法案において、自治体の判断により固定資産税をゼロにする新たな制度を導入することになりました。
御指摘のとおり、固定資産税は自治体にとっては基幹税、基幹収入でありますので、これは自治体の皆さんの御理解が不可欠だというふうに考えております。
やはり、地域の中小企業は、古い設備を我慢して使っています。なぜならば、赤字企業であっても固定資産税は払わなければいけないので、なるべく償却の終わった資産をだましだまし使ってやっているという状況ですけれども、今回この固定資産税がゼロになれば、中小企業はちゅうちょなく新しい機械を入れて生産性を高めることができるわけであります。
そのことによって長期的には税収がふえるということを御理解いただきたいと思いますし、それに加えて、経産省としては、先ほどお話のあったものづくり補助金、IT補助金を補正予算で一千五百億円ほど上積みをしますが、この配分は、固定資産税をゼロにしていただいた自治体に立地する中小企業、ここをまず重点的に配分をしていく、そういったメリットもしっかりつくり出していきたいと思います。
いずれにしても丁寧に、中小企業に情報が届くように取り組んでまいりたいというふうに思っております。(赤羽委員「承継税制」と呼ぶ)
あと、事業承継税制も、抜本的に使い勝手がよくなりました。今もう内容はお話がありましたので申し上げませんけれども、これは税制そのもののしっかりとした啓発ということに加えて、税だけではやはり解決をいたしませんので、まだ後継ぎを決めていない、高齢化の進んでいる中小企業というのもたくさんありますから、こういったところにしっかりと気づきの機会を与えていくとか、あるいは後継ぎの候補が見つからないというところにはマッチングをするとか、あるいは、経営を手伝ってくれるような人材を、例えば大手の銀行とか商社を退職した方の中からマッチングで見つけていくとか、いろいろな形でのサポートも、税制にあわせてしっかりとやってまいりたいと思います。
赤羽委員 丁寧な御答弁、ありがとうございました。
それで、中小企業の中の、これは具体的な案件なんですが、トラック運送について質問したいと思います。
トラック運送は、労働時間が大変長くて、また十分な収益も確保しにくい。大変人手不足が深刻になっております。ただ、これはこのまま放置しておきますと、我が国の経済成長にとって、物流が成り立たないということは最大のボトルネックとなってしまう懸念があるというふうに思っております。
そこで、昨年十一月に国交省が制定をいたしました、パネルにもありますが、トラック事業者と荷主の契約書のひな形でございます標準自動車運送約款の改正が実施をされました。
内容はそこにあるとおりでございますが、これまで、運賃といっても、運送料金だけじゃなくて、荷物の積込みですとか、またさまざまな役務も全部含めての運賃だった。これはしっかりと分けていかなければいけないということで、今回の改正によって、このパネルの中にもありますが、運賃は運送の対価、料金は別にその他の役務の対価ということを明確にするということが一つ。また、荷主の都合によって、荷待ちの待機時間も、これは大変長いことがあって、効率性の向上を阻んでまいりましたので、この待機時間料も新たに規定する。これが十一月から始まったわけであります。
これはトラック事業者は大変ありがたい話で、徹底はされておりますが、肝心なのは、やはり荷主が理解をして協力をしてくれるかなんですね。なかなかここは、強い立場、弱い立場というのがありますので。ここがしかし成り立たないと、結局は荷主の皆さん自身にも大変深刻な影響が出てしまう。
これは政府として、経済団体に、賃金三%のアップの引上げと同時に、このことについてもぜひ周知徹底をしていただきたい、こう思いますが、総理の御判断をいただきたいと思います。
安倍内閣総理大臣 詳しくは石井国交大臣から答弁させますが、トラックを含む自動車運送事業の長時間労働の是正を検討するため、野上内閣官房副長官を議長とする自動車運送事業の働き方改革に関する連絡会議が設置をされ、精力的に議論が進められているところであります。
この会議では直ちに取り組む施策とされたトラック事業者の待機時間料などの明確化は、改正標準貨物自動車運送約款に盛り込んだところであります。
また、国土交通省と、荷主を管轄する関係省庁等が連携して、荷主団体や企業に対して、その遵守を強く働きかけてまいりたいと思います。
赤羽委員 ぜひ世耕経済産業大臣にもよろしくお願いしたい。石井大臣は当然やってくれると思っていますので、よろしくお願いします。それはトラック事業者にとってありがたいことですので、そういう構造になっていると思います。
観光立国政策について伺います。
日本を訪れる外国人観光客は、五年連続で過去最高を更新しまして、昨年、二千八百六十九万人となりました。
しかし、これは残念なことなんですけれども、関西国際空港に到着をする外国人の方の大半が、実は大阪から京都のゴールデンルートに流れてしまって、我が地元であります、有馬温泉、城崎温泉、淡路島、姫路城と、日本の冠たる観光地である兵庫県にはほとんど来ない、大変少ないという状況がございます。
しかし、政府の目標として、二〇二〇年に四千万人という大きな目標を実現するためには、今、ゴールデンルートの観光地というのは、大変集中して、混雑もある。そうしたことを考えると、地方の観光地へ分散集客できる政策というのは大変重要だというふうに考えております。
やはりアクセスが大事で、例えば、関西国際空港から有馬温泉への直通バスというのはないんですね。それとか、今、関西国際空港から淡路島へのフェリーの路線もあるんですけれども、大変端っこに乗り継ぎ場があったりして、利便性が悪い。また、外国人の方や障害を持たれている方々も、温泉旅館で快適に過ごしたいといっても、なかなかバリアフリー化が進んでいないですとか、トイレの問題があるとか、多言語対応ができていないとか、さまざま課題があるというふうに思っております。
また、地方都市は、地方空港へのLCCの直接の乗り入れも大いに期待をしているんですけれども、これはちょっと細かい話なんですが、空港の中の旅客の輸送ですとか、手荷物、貨物の積卸しなど、裏方で支える業務というのは、グラウンドハンドリングという業界があって、大変人手不足が深刻になっております。地方空港でLCCを誘致したくても、このグラウンドハンドリングという業界の人手が足りなくて断念してしまうというようなことが頻発するようでは、実は、観光立国、地方創生の大きな足かせとなってしまうのではないかと、私は本当に心配をしております。
また、加えまして、東京オリパラのことを考えると、新幹線というのは、実は十六両、編成ありますけれども、車椅子のスペースというのは一席しかないんですね。これはもう考えられないような話で、二人以上来ると乗れないというのは断じて改善しなければいけないし、外国人が持たれている大きなスーツケースを置く場所もほとんどないんですね。これはやはり、当然これからのお客さんファーストということから考えれば、しっかりと改善していかなければいけない。
幸いに、このたび新たに観光促進税というのが創設されるわけで、相当大きな税収も期待されるわけでありますので、こうした課題にぜひ的確に使っていただきたい、こう強く思うわけでありますが、国土交通大臣の答弁を。
石井国務大臣 昨年の訪日外国人旅行者数は、一九%増の二千八百六十九万人、五年連続で過去最高を更新いたしました。安倍政権発足後、五年間で約三・五倍に拡大をしております。また、消費額も、昨年は一八%増の四兆四千百六十一億円。これも五年連続で過去最高となりまして、この五年間で約四倍となっております。
他方で、二〇二〇年訪日外国人旅行者数は四千万人、消費額八兆円等の目標達成に向けては、まだ道半ばであります。
このため、いわゆるゴールデンルートに集中をしております外国人旅行者の地方への誘客や、滞在期間のさらなる拡大、旅行ニーズの多様化への対応等に積極的に取り組んでまいります。
具体的には、観光地へのアクセス交通の充実、宿泊施設におけるバリアフリー化やトイレの洋式化、多言語対応等の施策をしっかりと進めてまいります。
また、御指摘がございました航空の地上取扱い、グラウンドハンドリング業務につきましては、機動的な要員配置を可能とするための基準の見直し等の規制緩和や、業務省力化、自動化に向けた先端技術の活用等の取組を通じまして労働環境の改善を図りつつ、航空需要の伸び等に対応した業務体制の確保に努めてまいります。
また、同じく御指摘がございました新幹線の車椅子スペースにつきましては、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会の開催等を踏まえまして、原則二つ以上とすることを義務づけまして、多目的室の活用も含め、ニーズに的確に対応してまいります。
また、大型の荷物の収納場所につきましても順次拡大を図っているところでありまして、引き続き、JR各社に対する働きかけを行ってまいります。
こうした課題に一つ一つ丁寧に対応いたしまして、観光先進国の実現に向けまして、観光促進税も活用しながら、高次元の観光政策に取り組んでまいります。
赤羽委員 この通常国会でバリアフリー法の大きな改正が予定されておりますが、東京オリンピック・パラリンピックのレガシーはバリアフリーのまちづくりにしたいという説明もいただきました。これは大変すばらしいことなので、新幹線については、一を二にするだけでも大変大きな作業だと思いますが、そんな寂しいことを言わないで、もう少し世界に恥じないようなレベルでやっていただきたいということを強く求めておきたいと思います。
最後に、働き方改革について質問させていただきます。
私は、サラリーマンのときは総合商社に勤務をしておりまして、寝る時間以外はほとんど会社にいた、大変寂しい人生を送っておりました。やはり、これというのは異常だなと。
私は、北京に駐在をしていたときに天安門事件に遭遇して、三時以後は会社にいちゃいけない、そういう時期がありまして、三時に帰らなきゃいけないので、極めて仕事も集中的にやり、三時に終わってから何をしようかと。ある人はジムに行ったりとか英語の勉強をしたりとか、さまざまなことができて、会社だけではなくて、やはり人生を豊かにしていくということを考える。それが結局は、生産効率性というのはそんなに、実は余り変わらなかったなと。
ですから、今回の、総理が言われる大きなこの働き方の改革は、相当抵抗もあると思いますが、やると決めて取り組むということが大事だというふうに思いますし、ヨーロッパなんかに行きますと、日本より明らかに労働時間が短いのに、一人当たりのGDPは日本を上回る国がたくさんありますので、何とかしていただきたい。
私がきょう申し上げたいのは、労働時間を短くする以上、その効率を上げなければいけない、集中を上げなきゃいけないというためには、健康が大事なんですね。労働時間中居眠りをしているようなケースが多ければ、それは働き方改革というのはうまくいかない。
私は、ちょっと個別なんですけれども、睡眠時無呼吸症候群という病気があって、これは実は現代病に近いんですね。昼間居眠りをしている人は大抵そうなんです。肥満というのも原因なんですけれども、顎が小さい。日本人というのは顎が小さくて、そうすると、睡眠時無呼吸症候群に実はなっている方がたくさんいらっしゃいます。
私は、虎ノ門の専門家の病院のところへ行きますと、たくさんの人が待合室で待っていて、昼間からやはり眠っているんですね。これは大変深刻だなということで、いろいろなところで勉強しましたが、すごく効果もある。
ある総合商社、私がいた会社じゃありませんけれども、海外駐在のときには、その機械を会社の負担で持たせるんですね。海外でハードシップが高いので、よい睡眠をとってもらいたいと。そうしたことというのはバックアップをしていただきたいし、私は、官邸の中の内閣官房の健康・医療戦略室で今議論されていると承知しておりますが、アジア健康構想ですか、これはやはり、アジアの方たちというのに対して日本の先端的な医療技術を展開していこう、ここにも実際チャレンジをされておりますので、こうしたことは大変意義があるというふうに思っております。
健康管理というのは、仕事だけではなくて、その人の人生も豊かにする基盤でありますし、こうした政策を、やはり働き方改革を進めていこうということをやる以上は、そこに目くばせをしながら進めていくというのが私は大変重要だと思っておりますが、その点について総理からの御見解をいただければと思います。
安倍内閣総理大臣 私自身の難病の経験から申し上げても、誰もがその能力を思う存分発揮をし、心豊かで幸せな生活を送るためには、個々人による健康管理が大変重要と考えております。例えば、睡眠は体と心の疲労を回復する働きがあり、良質な睡眠の確保が必要であります。
御指摘の睡眠時無呼吸症候群についても、睡眠の質を低下させ、労働生産性や生活の質の低下を引き起こすと言われています。このため、診断を行うための検査や在宅で行う治療などについて医療保険の対象としており、できるだけ早期に診断、治療を受けていただきたいと考えております。私も顎が小さいわけでございまして、そういう傾向に陥りやすい、こう言われておりますが。
また、平成二十五年より進めている第二次健康日本21においては、栄養や運動などと並んで、睡眠についても具体的な目標を掲げて、その達成度を評価、分析しながら、国民の健康づくり運動を展開をしています。
こうした取組を通じて、誰もが健やかに暮らすことができる社会の実現を目指してまいります。
赤羽委員 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。