衆議院予算委員会(2016年10月12日)

赤羽委員 おはようございます。公明党の赤羽一嘉でございます。
きょうは、限られた三十分という時間でございますが、我が国の成長戦略、一億総活躍に資する建設的な提案をしたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。
まず、十月八日、熊本県の阿蘇山で大変大きな噴火災害が起こりました。いまだに噴火警戒レベル三の入山規制がとられているところでございます。まずは、この地域で被害に遭われた皆様方に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
総理もよく御承知のように、この阿蘇地域は、四月の熊本地震、その前後の大雨災害、台風災害と大変大きな災害が続いているところでございまして、地震から、また台風災害からの復旧復興もまだまだ途上でございます。そうした中でのこの噴火でございますので、まず熊本地震、また台風災害からの復興を加速するとともに、今回の噴火で火山灰の農業への影響も大変大きなものだというふうに思っておりますし、観光地の風評被害の解消についても心を配らなければいけない、また被災に遭われた皆さんの生活再建、大変やることがたくさんあると思いますので、ぜひ、総理が陣頭指揮に立たれて万全の対策をとっていただきたいと、心から強くお願いをするところでございます。
続きまして、質問に入らせていただきたいと思います。
まず、近年我が国は、熊本地域だけではなくて、全国各地で想定を超える地震、水害、土砂災害、噴火災害と、激甚に指定されるような大変大きな災害が続いているわけでございます。
私自身、二十一年前の阪神・淡路大震災で住む場所を失った被災経験をいたしまして、以来、この二十一年間、我が国の防災政策に対して大変深くかかわってきた一人でございますが、大きな災害が起こるたびに、初動対応についてまだまだやらなければいけないことがたくさんあるなということを痛感しているわけでございます。
まず、きょうは、初動対応という意味では大変立派だった山形県酒田市の大火事、大火について御紹介をしたいと思います。
この酒田の大火は、昭和五十一年の十月二十九日、夕刻の五時四十分ごろ、酒田市の繁華街の中で出火が起こりました。一晩じゅう燃え続けていて、翌日未明の五時にようやく鎮火が宣言されたところでございます。焼失面積は二十二・五ヘクタール、焼けて失った棟数は千七百七十四戸、総額四百億円を超える大変大きな被害でございましたが、驚くべきことはこの復旧のスピードでありました。
行政のリーダーシップによって、大火の三日後に何と仮設住宅の着工が始まった。全体の三分の一の八十戸の仮設住宅が二週間後には完成をしているんですね。また、この間、八日後に復興計画の原案を被災住民の皆さんに行政は示して、仮設店舗は一カ月後に完成をしております。復興住宅は全体の半分に当たる百戸が五カ月後に完成をしておりまして、復興計画自体そのものも、住民の合意形成を経まして五十一日目に決定している。何か間違ったんじゃないかなと思うぐらい、今の感覚からいうと相当スピードが速かった。
自然災害と大火事ということで条件は違ったとしても、この驚異的なスピードでの復旧復興をなし得た要因は、私は、当日の夜現地に入られた自衛隊と被災に遭われた行政組織の役割分担が明確になされたから、こういうすさまじい勢いの復旧復興ができたのではないか、こう思っておるわけであります。
大災害があると、その被災地域では、被災された自治体の職員が、みずから被災者でありながら、まず被災者の皆さんの安否の確認に走り回らなければいけない。そして次に、避難所を立ち上げなければいけない。避難所には誰が入るのかという被災者の確認をしながら、全国から来る救援物資の分配をどうしようか、簡易トイレの設置はどうしようかとか。また、避難所といっても千名程度の大変大きな避難所ですから、そうしたルールをどうつくるべきかということに大変追われるわけであります。
阪神大震災のときも学校がそうした避難所になりましたので、学校の先生たちがそこに出て、体を壊された方も数多くいらっしゃったというのが事実でございます。
そして、その後、落ちついてきた後に、今度は罹災証明の発行であります。
罹災証明というのは、内閣府の防災担当はよく通暁していると思いますが、被災自治体の市や町の職員というのは基本的には平時は余り詳しくないんですね。最近は地震だけではなくて水害の判定もしなければいけないので、これは大変厄介です。被災者にとっては、全壊とか大規模半壊の判定をもらうのと、半壊、一部損壊の判定では全然その後の支援策が違うという現実の中で、大変深刻な問題で、トラブルも少なくない。
こうした震災後やらなければいけないことに忙殺をされて、本来行政組織は地元住民のこと、地域のことが一番わかっている人たちですから、この災害を受けてどのようにまちづくりを始めていくのか、どうしていくのかという本来やらなければいけない仕事になかなか着手ができないで、ただただ大変時間がかかってしまっている、これが現実だというふうに思っておるわけです。
ですから、私は、最近の大変大きな災害に遭遇するにつけて、こうしたことをちゃんと整理するべきではないかと。震災が起こる、避難所を立ち上げる、避難物資をどう分配する。さまざまな手の打ち方というのは、どんな災害でもやらなければいけないことなんですね。これは当然専門職化するべきだ。初めての人たちがマニュアルを見ながら、被災者に怒られながら、本当は自分も被災者でありながら大変な思いをして本当に疲れ切るということが被災地に行くたびに繰り返されるというのは、どこかでリセットしなければいけない。
やはり専門家を育てて、私は自衛隊の中にそういったグループがあってもいいと思うんです、現地に入ってハードのインフラのことをやるチームと、そうしたソフトのことをしっかりやる。行政組織はどこまでいっても一番地域を知っているわけですから、その地域の町をどうしていくかという前向きなことを分担できるようにすれば、私は日本の災害対策は相当早くなるものだと。これが二十一年間の私の確信なんですね。
こういったことを言うと行政改革に反するということで、なかなか難しいんですけれども、しかし、それで、これだけ頻発する大災害に対してやはり国民の命と暮らしを守るという責任が政府・与党にはあるわけですから、ぜひこの専門家集団をどうつくっていくかということを具体的に検討していただきたい。
官房長官から御答弁いただければと思います。
菅国務大臣 災害が発生をするたびに、そうしたいろいろな問題点が出てくるわけであります。
今回も、熊本地震、終わった後に検証をいたしました。結果として、今、赤羽委員が指摘されたようなことについて、しっかり事前に対応する必要があるだろうというふうに私どもは認識をいたしております。
そういう中で、国としては、内閣府の防災担当にそうした過去の事例に熟知している専門家を配置して、対応を迅速にできるような、そうしたことも一つだというふうに考えています。
そして、熊本地震のことを検証する中で、例えば政府においては、災害対策業務の責任者である関係省庁の職員のほかに、熊本県に勤務経験のある、土地カンのある人をお願いしました。そしてまた、罹災証明は、これは地方自治体が専門家をお願いしました。
こうしたことを踏まえて、やはり国の役割、地方自治体の役割、そうした中で、特に初動態勢については万全の体制ができるような、今委員御指摘の、私どもはそうしたものが必要であるというふうな認識のもとに、今、その実施、どのことが一番効率的かという形で考えているところであります。
赤羽委員 どうもありがとうございます。
今回の熊本も、今官房長官が言っていただいたように、大変工夫がされていたと思います。各省庁から、熊本出身の方、また熊本で仕事をした経験のある方がたくさんいました。それは現状の中でできるだけの精いっぱいの手を打っていただいたと思いますが、しょせん専門家ではない、縁があるということだけで。内閣府防災も、プロパーで育っている方も出てきていると思いますが、役所から二年、三年の出向の方が多いのも事実であります。
やり方はお任せしますので、いつあっても、こうした行政、被災自治体がやらなければいけないことに専念できる形をぜひつくっていただきたい。我々もしっかり検討していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、福島の復興について質問させていただきたいと思います。
福島イノベーション・コースト構想の中核プロジェクトでもあり新成長戦略の重要な案件でもあると私が考えております、福島ロボットテストフィールドについて御質問したいと思います。
これは、東京電力福島第一原発の被災地域の夢と希望、福島の被災者の皆さんにとって夢と希望を何かつくらなければいけないということで、私が原子力災害現地対策本部長を仰せつかっていたときに、福島イノベーション・コースト構想というものを打ち上げました。絵に描いた餅でありましたが、総理の強いリーダーシップをいただきまして、この構想が着々と実現の運びとなっておりますことは被災者の皆さん、被災地の皆様に大変喜ばれていただいておりまして、今後の本格的復興に向けて大変心強く思われていることと確信をするところでございます。
また、我が国も、アベノミクス三年半の中で全体の経済状況が改善されているということは客観的な事実であります。しかし、他方、まだまだ地方が、また中小企業が元気になり切れていない、これも客観的な事実です。
まさにこれからやるべきことは、アベノミクスの恩恵を地方に、中小企業に、家計に届けるためにも、今予定されている新成長戦略と第四次産業革命、IoT、ビッグデータ、人工知能、ロボット、こうしたものをどう本当に国を挙げて進めていくかということに尽きる、私はそう考えております。
完全自動走行による交通弱者へのサポートですとか、交通渋滞、交通事故、環境問題の解消、またドローンを用いた物流。医療、介護でも、ロボットの実装が進むことによる医療、介護現場の負担軽減。農業分野でも同様でございます。
こうしたロボットやドローンの実用化を世界に先駆けて進めるためには、言わずもがなでありますが、実証実験ができる広大なフィールドと、そしてその性能の評価をする基準認定の中心拠点が必要だ。これはやはりアメリカは大変強くて、テキサスA&M大学にディザスターシティーという大変大きな実証フィールドがあり、またDARPAというロボットの技術の認定機関がある。世界の権威になっているから、やはりアメリカは強い。
こうしたものをぜひ今回、日本がロボットだドローンだとやる大前提として、せっかく予算もつけていただいている福島ロボットテストフィールドを、世界に負けない、世界一の実証フィールドにしていただきたいと強くお願いをするわけでございますが、経済産業大臣の御決意を伺いたいと思います。
世耕国務大臣 お答えいたします。
赤羽委員におかれましては、一年九カ月にわたって経済産業副大臣を務めていただいた際に、原子力災害現地対策本部長として、被災地にしっかりと寄り添いながら復興に向けて大変な御尽力をいただいたことを、まず改めて感謝申し上げたいと思います。
その際、赤羽本部長を中心に取りまとめていただいた福島イノベーション・コースト構想、これは新しい産業を起こすことによって雇用を生み出すまさに未来志向の復興でありまして、これは今も福島の皆さんにとって希望であり夢であるという状況であります。
また、福島だけではなくて我が国全体にとっても今御指摘のように第四次産業革命を進める上でも非常に重要でありますし、あるいはこういった福島での取り組みが他の地域の地方創生の一つのモデルにもなっていくというふうに考えておりまして、このイノベーション・コースト構想、赤羽本部長に取りまとめていただいたものをしっかりと発展させていかなければいけないというふうに思っています。
その中で、御指摘の福島ロボットテストフィールド構想、ここでは、物流、インフラ点検、災害等の分野で活用が期待される、ロボットやドローンの社会実装を世界に先駆けて進めていきたいというふうに思っています。
例えば、災害現場で活用されるロボットがどれぐらいの高温下でどれぐらい長時間稼働できるのか、あるいはドローンがさまざまな気象条件のもとでどれぐらい長距離、長時間飛行できるのかなど、求められるロボットやドローンの機体性能を示すとともに、複数のドローンが衝突することなく飛行するための管制システムや衝突防止システム、こういったことを開発していくことが必要であります。
そのために、今回の補正予算では、福島県の浜通りにおいて、火災やガスが発生する厳しい状況下での実証が可能な災害模擬プラントや、あるいは長距離、長時間にわたって複数のドローンによる活動を実証するための無線基地局や気象観測施設等を整備する予算措置を盛り込んだところであります。
こういった取り組みを通じまして、福島ロボットテストフィールドを、ロボット、ドローン開発、実証のために、真に求められる機能と規模を兼ね備えた、まだスタート段階ではありますが、いずれは世界に類を見ない拠点として育ててまいりたいというふうに思っております。
赤羽委員 どうもありがとうございます。
今、隣に座っている真山議員は福島県選出でありまして、今お答えになられたようなビジョンを聞いたとき、彼は大変わくわくしておりました。福島の方がわくわくするだけではなくて、日本の企業、また世界じゅうの企業から、この福島のロボットテストフィールドに来ないとやはりやっていけないと言っていただけるような、価値のあるものにぜひしていただきたいと強くお願いするところでございます。
次に、これから、一億総活躍のための未来への投資であります教育費用の負担軽減について質問したいと思います。
これは、本年六月二日に閣議決定をされましたニッポン一億総活躍プラン、また八月二日に閣議決定をいたしました未来への投資を実現する経済対策、この両方に奨学金の制度の拡充ということが相当深く踏み込んで書かれております。
現在の奨学金制度は、家庭の経済事情、本人の能力などに応じてさまざまな支援措置が講じられているが、依然として無利子奨学金を受けられない学生がいる、あるいは、社会に出た後の返還負担に不安を覚え奨学金を受けることをちゅうちょする学生がいることが指摘されている。このため、家庭の経済事情に関係なく、希望すれば誰もが大学や専修学校等に進学できるよう、安定財源を確保しつつ、奨学金制度の拡充を図る。
これがニッポン一億総活躍プランに掲げられた文章でございます。
これはまさに大変なことですが、他方、私は先週末に地元に帰ったときに、高校生のお子さんを持つお母さんから、赤羽さん、公明党が提案している給付型奨学金というのは本当に実現するんですかと、大変必死の形相で尋ねられました。
お話をよく伺いますと、年齢が近いお子さんが三人いらっしゃって、大学の学費や生活費のことを考えると、とても今の家計じゃ負担できない、だから進学を諦めざるを得ない、こう言われていました。そんなことは待ってください、誰もが奨学金で大学に行ける、専修学校に行けるというのが今の政府・与党の方針ですからということでお話をいたしました。
そうした方はまだまだたくさんいらっしゃるし、テレビを注視されていると思いますので、残りの時間はまずこの点についてやりとりをしたいと思います。
公明党は、結党以来、学ぶ意欲のある者は誰でもが、経済的理由により学業を諦めるなんということはなくて、公平に良質な教育を受けることのできる社会を目指して、一貫して教育費負担軽減また奨学金制度の充実に努めてまいりました。
これがパネルでございます。お手元にも資料を配付させていただいております。
このグラフを見ておりますと、平成十年から十一年、ちょっとわかりにくいんですが、急激にグラフが伸びております。これは何があったのかというと、実は、当時野党でありました公明党と与党の自由民主党の間で、平成十一年二月十八日、きぼう21プラン奨学金という新しい奨学金制度をつくろうということが合意をされました。
これは何かというと、学力基準というのが当然それまであったわけです、五段階の平均三・五以上。こうしたことはもうやめようじゃないか、勉学意欲がある者は、成績が少々悪くても、一生懸命勉強したい、進学したい、そうした声に応えるべきだということで我々が主張して、それを自民党が受け入れて、学力基準に勉学意欲のある者ということを入れて大変大きく緩和いたしました。家計基準も緩和した。
その結果どうだったかというと、平成十年は、ちょっとこのグラフではわかりにくいんですが、奨学金は無利子は二十七万、有利子は十一万、計三十八万人でありました。平成十一年は実に無利子は二十八万、これは余り変わらないんですが、有利子の部分が倍以上の二十四万人になって、五十二万人になった。ここから、有利子で、財投の利用ということもありましたが、どんどんどんどんふえていって、誰もが借りられる奨学金ということで、実に平成二十四年、二十五年には百四十四万人、無利子も四十三万人、有利子は百二万人。
全大学生のうち、今の学生支援機構の奨学金を借りている方たちは三五・八%。三人に一人が奨学金を借りる。このように、学費の支えに奨学金がなったというのも近年の実態でございます。
しかしながら、今言われているように、問題がないかというと、そうではございません。これだけ奨学金はふやしてきたのですが、問題が顕在化されてきた部分も逆にあります。
それは、特に低所得者世帯の子供さんにとりましては、無利子奨学金をまず借りようとすると成績要件がひっかかる。これはなかなかクリアすることが難しくて、低所得者世帯のお子さんが無利子奨学金を受給することが大変難しいという現実が一つ。二つ目は、そうした家庭は当然仕送りが少ないので、奨学金の貸与額が大きくなって、結局返還に困難を来している。
そして、その結果、これは大変残念なことなんですけれども、学ぶ意欲があっても、しょせん奨学金を借りてもローンで返せないから、進学そのものを断念しようと、先ほど、冒頭の私の地元のお母さんのような声がある。こうしたことは何とか直さなければいけない。
その問題を、まず無利子奨学金について、いろいろ今文科省も松野大臣のもとに検討していただいていると思いますが、幾つか具体的に申し上げると、まず、無利子奨学金を本来受けることができるのに、財政的な予算の制約上、無利子奨学金を受けられずに有利子を受けている、残存適格者と言われている方が二万四千人いる、これは総理も国会でもう既に答弁していただいていますが、直ちに解消する、これをぜひやっていただきたいというのが一点。もう一つは、低所得者の方たちが、なかなか成績要件がクリアできないので、本当は無利子を受けられなきゃいけないんだけれども現実には有利子を受けているというのは、恐らく約十四万人ぐらいいるんじゃないか。
ですから、私は、ここの部分、どこに線を引くかというのは難しい問題かもしれませんが、まず低所得者世帯の皆さんについては無利子についても学力基準を撤廃する、勉学の意欲のある者ということにしないとこの問題はなかなか解決しない。これはいろいろな議論があると思いますが、ぜひ文科大臣の前向きな御答弁をいただきたいと思います。
松野国務大臣 無利子奨学金については、有利子から無利子への流れを加速するため、これまでも毎年度、貸与人員の増員を図ってきており、平成二十四年度の予算では三十七万八千人であったところ、平成二十八年度予算では四十七万四千人へと九万六千人の増員をしてきたところであります。
これによって、今委員御指摘の残存適格者数は平成二十四年度の十万五千人から平成二十八年度は二万四千人まで段階的に減少してきており、平成二十九年度概算要求において、残存適格者の解消に向けて、無利子奨学金の貸与人員の増員を要求しているところであります。
また、低所得者世帯の子供たちに係る無利子奨学金については、平成二十九年度進学者から成績基準を実質的に撤廃するための事項要求を行っているところであり、その具体的な制度内容については現在検討しているところであります。
今後、予算編成過程において必要な予算を確保し、意欲と能力のある学生が進学等を断念することがないよう、大学等奨学金の充実に努めてまいります。
赤羽委員 公明党としても、本年四月二十二日に総理宛てに、我が党の奨学金推進プロジェクトチーム、座長が富田議員、事務局長が浮島議員、要望しております。党を挙げて応援したいと思いますので、ぜひ財務省に負けずに頑張っていただきたい。よろしくお願いしたいと思います。
加えて、なかなか貸与では難しいという御家庭があるのも間違いないんですね。養護施設に入っていらっしゃる方とか、生活保護世帯とか非課税世帯の子弟、ここをどうするか。これは、総理は並々ならぬ意欲で、給付型奨学金を創設すると何回も御答弁いただいております。
お手元の資料に配りましたが、世界じゅうで給付型奨学金がないのは、OECDでは日本とアイスランドだけ。ヨーロッパ、ドイツとかフランスは基本的には学費はただでありながら給付型奨学金が相当充実しているというのは、お手元の資料に配付したとおりです。ですから、給付型というとなかなか、どうするんだ、やりっ放しで切りがないじゃないかと言う人もいるかもしれませんが、この給付型奨学金で学業を修め、社会に出て納税者となる、結局は未来への投資そのものだと私は思います。
この点について、総理、重ねてで申しわけございませんけれども、強い御決意をいただきたいと思います。
安倍内閣総理大臣 家庭の経済事情によって子供たちの将来が左右されてはならない、これが安倍政権の基本的な考え方でございまして、希望すれば誰もが大学やあるいは専門学校、専修学校に進学できる、そういう国にしていきたいと思います。そのための奨学金の制度の充実は重要でありまして、先ほど答弁をさせていただいたように、無利子奨学金についても希望すれば誰もが受けられるようにしていきたいと思っております。
そこで、給付型奨学金については、経済的理由により進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しするという観点や、進学に向けた学生等の努力を促すといった観点から、文部科学省を中心に具体的な検討を進めているところであります。赤羽委員が御指摘になったように、こうやって奨学金でみんなで後押しすれば、将来その子が頑張って納税者になれば、将来へのまさに投資ではないか、私もそのとおりだと思います。
いずれにしても、平成二十九年度予算編成過程を通じて、制度内容について結論を得て実現してまいります。
赤羽委員 公明党も全力で応援したいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
最後になりますが、奨学金の返還について困っていると。さまざまな工夫をしていただいておりますが、私、一つすごくいいことだなと思うのを今パネルで見せたいと思います。
地方自治体がまずお金を出す、地元の企業、産業界も一緒にお金を出して基金をつくる。人口減少対策・就職支援基金。そこに、地元の地方自治体と地元の産業界が、どういう人を対象にして、どういう要件でやろうかと。各都道府県、実は百名指定することができる。その人たちが例えば山口県なら山口県で八年間仕事をすれば、返済は全部免除しますよと。これは実は、総理、山口県が先頭ランナーでやっていただいていて、製造業に限ってではありますが、大学院、また薬学部の五、六年について、県内企業に八年間従事すると全部返還してくれる、四年間ですと二分の一だ。
こうしたことというのは、条例ができているのが、山口、鳥取、徳島、山形、福島、栃木、富山、和歌山、香川、高知、長崎。条例ができているんですね。(発言する者あり)そう、兵庫もやらなきゃいけないな。ここはぜひ全国で、この制度というのはすごくいいことで、私は、国だけが教育支援をするべきじゃない、民間だって、民間の人材を育てていくのは官民挙げてやらなきゃいけないと。
ぜひ、このいい制度を、まだまだ周知されていないと思うので、総理みずから、山口県が一番元気にやっていただいておりますので、この山口の事例をもって、全国の地方自治体、また経済団体に、この制度をぜひ活用してほしいということを政府を挙げて言っていただきたい。
これを最後の御質問にしたいと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
安倍内閣総理大臣 今、委員から大変いい例を挙げていただいたと思っております。
我が国の若者はまさに我が国の未来であり、官民が力を合わせて若者への投資を拡大して、そして奨学金の充実を図っていくことは大変重要だと思います。
その中で、今、山口県の例を挙げていただきましたが、地方自治体もさまざまな工夫をしている。県の税金を出していく上において、その子供たちは将来地元の企業の人材として頑張っていくんだよということであれば、みんな納得するわけなんですね。
そうしたさまざまな工夫を生かしながら、こうした民間団体の行う奨学金事業の財源は企業、一般の方々の善意に基づく寄附金であり、また政府としてもこのような寄附を促進する、奨学金事業を行う学校法人や公益法人等に対する寄附を行った場合、所得税や法人税を軽減しているところでありますが、現在、二千八百団体が年間三十万人の学生に対して奨学金を支給しているところでございます。
また、これまでに既に十県において基金創設のための条例を制定し、その中の一つが山口県でありますが、一県においては条例制定に先立って支援候補となる学生の募集を開始しているものと承知をしております。
政府としては、設置された基金に対する地方公共団体の出資について特別交付税による支援を行うこととしておりまして、引き続き、多くの地方自治体において事業が実施されるようしっかりと取り組んでまいりたい、このように思っております。
赤羽委員 どうもありがとうございました。
以上で終わります。