◆減らぬ「振り込め詐欺」

振り込め詐欺などの「特殊詐欺」による被害金額が2013年1年間に486億9000万円になったことが警察庁のまとめで明らかになった。過去最悪の金額で、米田壮警察庁長官が記者会見で「被害総額が急増しており、非常に深刻な状況だ」と語った。高齢者をターゲットにした詐欺事件は,警察との「いたちごっこ」のように新手の手法が登場しているのが現実で、取り締まりは後手に回っている印象だ。

「特殊詐欺」というのは、電話やメール、パンフレットなどにより、現金をだまし取る詐欺を指す。具体的には、オレオレ詐欺▽架空請求詐欺▽融資保証金詐欺▽還付金詐欺といった振り込め詐欺のほか、金融商品取引を装った詐欺▽ギャンブル必勝法伝授名目の詐欺▽異性交際あっせん名目の詐欺などがある。

統計によると、昨年1年間に全国の警察が把握した特殊詐欺事件は、未遂を含め1万1998件で前年より3305件増。逮捕者は1805人で、うち316人が未成人だった。

被害金額は前年より123億円増加、過去最悪を更新した。手口別にみると、電話で息子や孫を装うオレオレ詐欺の被害は121億円(前年比59億円増)。株や社債の購入代金名目の金融商品取引詐欺177億円。医療費や税金の還付を持ちかける還付金詐欺が17億円あった。

振り込め詐欺はこれまで、銀行口座に送金させる手法が中心だったが、金融機関が現金自動預け払い機(ATM)から1回で送金できる金額を制限するなど対策を強化したことなどから減少。反面、犯人グループのメンバーが被害者の自宅を訪れ現金を受け取る「手渡し型」や、宅配便などで現金を私設私書箱などに送らせる「送付型」が急増している。昨年は「手渡し型」が全体の43%を占め、「送付型」が16%だった。特にオレオレ詐欺では8割が「手渡し型」だった。

高齢者をねらった犯罪は、これまでにも訪問詐欺などいろいろな手口があったが、取り締まりや法規制の強化をすると、別の手口が生まれるのが実情だ。ジャーナリストは「驚くほど新しい手口が生まれてくる。一般に詐欺事件は『これで儲かるならば』という被害者の『欲心』を刺激するものが多いが、オレオレ詐欺は親心につけ込む非常に悪質な犯罪だ」と指摘する。

警察庁担当者は「被害者のほとんどが『自分は引っかからない』と思っていた人。家族でルールを決めるなど、対策を講じてほしい」という。高齢者を持つ家庭は自衛策が必要というわけだ。

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