(ズバリ聞きます!)防災・減災「中期計画」

答える人=公明党副代表 赤羽一嘉さん

先月、ロシア・カムチャツカ半島付近を震源に起きた地震で、日本の広い範囲に津波が押し寄せました。防災・減災への対応は待ったなしの課題です。今回は、公明党の訴えで政府が6月に決めた「第1次国土強靱化実施中期計画」(以下、中期計画)の意義や内容について、公明党の赤羽一嘉副代表に聞きました。

■Q どんな意義がある?
■A 国民の命と暮らし守る法定化で継続性を担保

アスカ 今回、決定された中期計画の意義は。

赤羽 政治の最大の使命は、国民の命と暮らしを守ることですが、かつての民主党政権では、公共事業の予算を大幅に削り、公共工事の設計労務単価も引き下げました。その結果、脆弱な国土がそのままになり、建設業界の人材確保や育成も進みませんでした。

自公政権に戻り、必要な公共事業を進めるために始めたのが、事業費7兆円の防災・減災、国土強靱化のための「3か年緊急対策」(2018~20年度)と、事業費15兆円の同「5か年加速化対策」(21~25年度)です。自治体の首長からは「予算が限られる中、対策を進めることができた」と大変喜ばれました。ただ、津波を含む南海トラフ地震や首都直下地震への対応、インフラ老朽化による事故を防ぐ「予防保全」の一層の推進は喫緊の課題です。

今回の中期計画は、おおむね5年ごとの見直しが初めて法定化されたもので、継続性が担保されました。加速化対策を上回る、5年で20兆円強の事業費を確保した点も画期的です。

■Q 盛り込まれた内容は?
■A 上下水道の耐震化など114施策と達成目標示す

アスカ 盛り込まれた内容については。

赤羽 26年度から5年間で、国が特に推進すべき114の施策と、その達成目標が明記されています。現場の声を基に公明党が政府に訴えた施策が数多く盛り込まれています。

具体的には、昨年1月の能登半島地震で広範囲の断水や避難生活が長期化したことを教訓に、上下水道の耐震化や、被災者が尊厳ある生活を営むための「スフィア基準」を踏まえた避難所環境の抜本的改善を推進します。また、キッチンカーなどを平時から登録し、災害時に活用できる「フェーズフリー」の取り組みも促します。

大規模地震への備えとして、住宅の耐震化や、津波避難タワーの整備など災害に強い市街地形成を加速させます。

そのほか、障がい者や外国人にも配慮した災害時の情報伝達手段の整備などもさらに進めていきます。

■Q 公明党の取り組みは?
■A 法改正の議論をリード。事業規模20兆円強確保

アスカ 党の取り組みは。

赤羽 公明党は「防災・減災を社会の主流に」と訴え、緊急対策から今回の中期計画に至るまで、防災・減災対策を一貫してリードしてきました。

中期計画の根拠法となる防災・減災、国土強靱化基本法の改正については22年11月、自民、公明の与党両党で防災・減災、国土強靱化推進プロジェクトチーム(PT)を立ち上げた際、公明党から私が座長代理に就き、議論を進めました。その後、23年5月に与党PTで改正案をまとめ、野党にも賛同を呼び掛けて同6月に成立しています。

事業規模においても、公明党は昨年の衆院選重点政策や国会論戦で「5年で20兆円規模」を主張してきました。さらに資材や人件費の高騰に応じて、事業費を積み増すことも訴え、中期計画に反映されています。

アスカ 今後に向けては。

赤羽 中期計画がどのように実行されていくかを、国と地方の公明議員のネットワークでフォローアップしていくことが重要です。

またハード面だけでなく、ソフト面の充実も欠かせません。気象防災アドバイザーの登用やタイムライン(事前防災行動計画)の策定など、自治体の取り組みを後押ししていきます。