◆50万人を超えた「特養待機」

特別養護老人ホーム(特養)への入所を希望しながら、満員などのために待機している人が、全国で52万4000人いることが、厚生労働省の調査で明らかになった。都市部を中心に「特養不足」は顕著になっており、急激な高齢化に対策が追い付かない象徴といえる。政府は要介護度が低い高齢者は、在宅介護サービスなどで対応する方針だが、「特養待機」が多い背景には、高齢者とその家族には特養への期待が大きいことを示している。

調査は昨年10月1日段階で各都道府県が、入所を希望しながら入れない人を調べた。都道府県によっては、複数の特養に申し込んでいる人を重複計上したところもあった。2009年調査に比べると、特養待機は10万人以上増えており、深刻度が増している。都道府県別でみると、①東京(4万3000人)②宮城(3万8000人)③神奈川(2万8000人)④兵庫(同)⑤北海道(27000人)――の順。宮城は重複計上しているため、人数が多くなったとみられる。

特養は「介護老人福祉施設」とも呼ばれ、要介護認定を受けている人が、24時間体制でケアを受けられることから人気が高い。在宅では介護しきれない人が多く、「終のすみか」になる入所者も少なくない。厚労省によると、全国の特養は約7800施設(2013年7月)で、入所者は約51万6000人。

需要の多い特養だが、施設数はそれほど増えていないのが現状だ。土地取得が困難なうえ、市町村財政に大きな負担がかかることが大きい。統廃合された学校跡地の利用や、民間マンションの一部に併設するなどの工夫をしているところもあるが「まだ数えるほど」(ジャーナリスト)という。

政府は来年度から特養入所者の条件を「要介護3~5」にし、「要介護1~2」の高齢者は、在宅や他の施設にゆだねる方針だが、介護現場では慢性的な人で不足が続き、在宅介護サービスの体制が十分でないのが実情だ。

今回の調査でも、特養待機の66.0%に当たる34万5000人は「要介護3~5」だった。「要介護5」に絞っても9万7000人が入所を待っていた。特養でケアされるべき人が入所できない状態なのだ。

団塊の世代が75歳を迎える2025年以降、2060年ごろにかけて、日本は「超高齢社会」になるのは確実だ。高齢化問題の研究者は「なかでも大都市圏の高齢化は深刻だ」と口をそろえる。ある研究者は「政府は医療も介護も在宅で、というが、その在宅サービスが整備されていないことが、特養への期待を大きくしている。特養の増設と在宅サービス体制整備は喫緊の課題だ」と指摘している。

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