北朝鮮核実験の波紋

北朝鮮が核実験を強行した。国連安全保障理事会が北朝鮮を非難する報道声明を発表するなど、批判の輪は広がっているが、北朝鮮は核実験の成功を「いかなる制裁、圧力も恐れない強大な国力を全世界に示した」(朝鮮中央通信)と強気の姿勢を示している。この暴挙に米国、中国、日本はどう対応しようとしているのでしょうか。

米国のオバマ大統領は、核実験直後の一般教書演説で「断固とした行動でこたえる」と宣言した。国連安保理の対北朝鮮決議に、実効性の高い北朝鮮系金融機関との取引禁止や北朝鮮関連の貨物検査の義務化などを盛り込むことを目指している。しかし、米国も内情は複雑だ、北朝鮮による米本土へのミサイル攻撃の可能性が高まった以上、それに備えるのは当然だが、中東との二正面作戦は国防費の増大につながる。財政再建のために国防費の抑制が求められている状況もあり、「ミサイル防衛(MD)強化」とはいってもそう簡単ではないからだ。

一方、中国も対応に苦慮している。核実験直後には楊潔篪外相が駐中国大使を呼び異例の抗議をした。中国の強い不快感を示すものとして注目される。また、中国共産党機関紙「人民日報」系の「環求時報」は、核実験を続けるならば「援助を減らすべきだ」など北朝鮮批判を強めている。しかし一方で、国連安保理での制裁強化には今も慎重な姿勢を崩さない。

中国事情に詳しいジャーナリストは「中国は2006年、2009年の核実験では約1カ月間原油の供給を止めている。今回も金融資産凍結を含め、何らかの制裁をするだろうが、北朝鮮との関係が決定的に悪くなることは避けたいという思いもある。金正恩体制が崩壊し、難民が流入するのを避けたいというだけでなく、北の核が北京に向けられることを懸念するからだ」という。

日本も対応は難しい。安倍政権は「対話と圧力」路線を掲げるが、拉致問題を抱え、日朝間の「対話」はほとんどない。安倍晋三首相としては、米国との連携を強めたうえで、国連安保理の強力な決議を求める構えだ。政府内では独自の制裁強化も検討されている。政府関係者は「核の小型化に成功したなら、中距離弾道ミサイル『ノドン』への搭載が可能になり、これまでの脅威とは次元が違う」という。米国による「核の傘」の必要性が高まることにもなりかねない。今後、具体的な政策にどう反映していくかが問題になる。

いずれにせよ、北朝鮮の核実験成功は、北東アジアの安全保障環境を大きく動かしている。安倍政権は難しいかじ取りを迫られることになります。