本格化する日銀総裁人事

4月8日に任期満了を迎える白川方明日銀総裁の後任人事が本格化しています。

日銀総裁は、首相と共に日本経済のかじ取りをする重要なポストです。

それだけに後継総裁人事は毎回、注目を集め、海外からも関心が寄せられています。

前回2008年の人事は、各党の政局がらみの思惑が交錯し混乱した苦い経験がありました。

それだけに今回は国会人事のありかたとともに議論されています。

安倍晋三首相は年初のテレビ番組で、次期総裁について「大胆な金融政策を実行でき、我々の主張に合う人」と述べ、それ以上の具体的な言及は避けています。

この条件に合う人は少なくない。これまでに新聞やテレビで名が上がったのは、武藤敏郎大和総研理事長(元財務事務次官)▽黒田東彦アジア開発銀行総裁(元財務官)▽岩田一政日本経済研究センター理事長(元日銀副総裁)▽伊藤隆敏東大大学院教授▽岩田規久雄学習院大教授▽竹中平蔵慶応大教授▽浜田宏一米エール大名誉教授▽高橋洋一嘉悦大教授ら10人近いようです。

日銀総裁人事は国会承認が必要な国会人事であるため、政争の具になることが少なくない。典型的だったのが2008年の人事。国会が「ねじれ」状態にあったため、当時の福田政権が武藤氏を起用する人事案を提出すると、民主党は「財務次官の天下りはだめ」と反対し、参院で否決。さらに政府が田波耕治元大蔵次官を総裁にする案を示したが、これも「財務省OBは認めない」と反対。結局、白川総裁で落ち着くまで、一時的とはいえ総裁ポストが空席になる異常な展開だった。

今回、民主党は「白紙だ」(海江田万里代表)と、態度を明らかにしていない。

党内には「財務省OBには反対だ。『天下り反対』という路線からすれば譲れない。前回の対応との整合性もある」(議員秘書)という強硬論は根強いが、一方で「硬直的な対応で国民の理解が得られるか」(若手議員)という意見もある。いずれにせよ、党内の意見集約は難航が必至だと思う。

また、参院でキャスティングボード的存在のみんなの党の渡辺喜美代表も、財務省OB起用に難色を示し、学者を押している。誰が候補になってもすんなり後継者が決まるとは考えにくいでしょう。

経済ジャーナリストは「人事の原則は『適材適所』のはず。『財務官僚OBなら誰であっても反対』というのはあまりにも政治的な対応だ。

アベノミクスの是非にかかわらず、総裁にはリーダーシップのある人事が選ばれるべきで、その観点から賛否を議論することが必要だ」という。

総裁人事で問われているのは、民主党をはじめとする野党の見識なのかもしれませんね。