国土交通委員会(2007年05月16日)

地域公共交通の活性化について



赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 きょうは、一般質疑三十分間ということでございます。
 まず最初に、先日、当委員会で審議されました地域公共交通の活性化、若干やりとりをさせていただきましたその関連で、きょうは、地域における特に鉄道事業について御質問をさせていただきたいと思います。
 先日の委員会で、地方、政令都市ですら鉄道事業が立ち行かなくなっている、こういった指摘をさせていただきながら御質問させていただいたわけでございますが、そのときに大臣から、民間鉄道の経営が非常に悪化している、その理由は乗客が減ったということでありますということで数字を示されたわけでございますが、もちろん、その傾向、そういうのが大きな一つの要因であるということは私も全く否定はしないんですが、実は、そういう乗客の数が減ったということで経営が立ち行かなくなってきた鉄道事業者ばかりではないと。
 実は、冬柴大臣もよく御存じだと思いますが、神戸市内の北区に北神急行という極めて変わった鉄道がございまして、恐らくこの委員会に出席の委員の皆さんが聞くと驚くような、新神戸から谷上駅という、六甲山脈の下を通っているトンネルの一区間だけで経営をしているという事業者でございます。資本金の十倍ぐらいの当初のトンネル費用がかかっている、過少資本で経営をしているということでございまして、実は、経常経費といいますか、毎年の経営はそこそこ赤字にはならない状況でありますけれども、やはり最初の初期投資が極めて膨大で、引っ張っている。ですから、このことについては、実は私、初当選以来、毎年毎年この旧運輸委員会で大臣がかわるたびに御紹介をし、何とかしてほしいということを訴えてまいりました。
 といいますのは、一区間七・五キロで、乗っている時間は七、八分足らずですが、四百三十円という恐らく日本で一番高い鉄道料金でありまして、ここを何とかしてほしいと。登山列車並みの料金で政令都市の中を走っている民間鉄道があるということを訴えさせていただきました。
 さまざまな取り組みがございまして、実は、国土交通省の陣頭指揮のもと、兵庫県、神戸市、また阪急電鉄、神戸電鉄、北神急行という、関係者が一つのテーブルに着かれて、そして、いわゆる上下分離の手法を駆使し、国もお金を出し、県、市もそれぞれ補助金を出すといった形で、実は、今から八年前の四月一日から八十円の運賃値下げが実現をいたしました。これは、恐らく民間鉄道の運賃の引き下げという意味では極めて珍しい事例であったというふうに思っております。
 私は、こういった意味で、上下分離という手法は今後拡大していかざるを得ないのではないか。乗降客をどうするかというのは、それは地域住民の問題であり、民間鉄道事業者の問題であるというふうに思っておりますが、構造的な問題、鉄道施設ですとか駅舎、こういったハードの面は少し公的な助成があっていいのではないか、こういうふうに思っております。
 そういったことを実現してもらったこの北神急行電鉄への取り組みというのは、まさに私は大変画期的な仕組みをつくっていただいたということを高く感謝もし、高く評価もするわけでございますが、兵庫県と神戸市が運賃助成を毎年五・四億円していただいているんですが、当初、平成二十年度いっぱいで予定期日を迎えるということになっております。平成二十年度といいますと、いよいよ来年度いっぱいということでありまして、その後この八十円の値下げが維持できるのかどうかということを、地元の住民として、大変心配の声が上がっているわけでございます。
 この北神急行電鉄も、過剰負債もクリアになり、そして毎年毎年の決算もようやく、少しではありますけれども、黒字が出せるようないい状況になっている。ショートカットできる、機能としては大変大きな鉄道ですので、何としても、兵庫県、神戸市が主体となって考えていくというのはもちろんでありますけれども、ぜひ国としても、あれだけ、八年ぐらいかけてつくっていただいた仕組みを平成二十年が終わったからといってまたもとに戻してしまっては大変残念な結果になってしまいますので、この点についての国の取り組みのお考えについて、確認をさせていただきたいと思います。

平田政府参考人 お答え申し上げます。
 北神急行につきましては、ただいま委員の御指摘のとおり、神戸市の北部の北摂・北神地域の住宅開発に伴います神戸市都心への通勤通学などの輸送にこたえるべく、六甲山の下をトンネルで、神戸電鉄の谷上駅と神戸市の地下鉄の新神戸駅とを連結する鉄道として、昭和六十三年に開業した路線でございます。
 こういった地域の足として重要な役割を果たしてきたところでございますが、同社の経営につきましては、北神地域の住宅開発事業のおくれによります輸送需要の低迷などによりまして経営が悪化いたしました。債務超過状態に陥ったため、平成十四年に関係者によります抜本的な経営再建措置がとられたところでございます。
 具体的に申し上げますと、ただいま委員の方から御指摘がございましたように、まず第一に、第一種鉄道事業者でありました北神急行電鉄は、その保有する鉄道施設を第三セクターでございます神戸高速鉄道に譲渡いたしました。神戸高速鉄道が第三種鉄道事業者となりまして、新たに第二種鉄道事業者となった北神急行電鉄が、施設を借り受けて運行するいわゆる上下分離方式により、鉄道営業の存続を図ることとしたところでございます。
 第二番目でございますが、一方、兵庫県、神戸市と阪急電鉄におきましては、神戸高速鉄道に対しまして、北神急行電鉄から鉄道施設を買い取るための資金の貸し付けを行うことにしたわけでございます。
 第三点目は、では国の方はどういうような関与をしたかという点でございますが、鉄道施設につきましては、旧鉄道建設公団が建設をいたしまして、北神急行電鉄に割賦譲渡したものでございます。国は、北神急行電鉄が公団に対して負っておりました債務につきまして期限前の一括の全額償還を認めることとするとともに、早期弁済受け入れに伴う鉄道建設公団の損失につきましては、国が助成を行ってきているところでございます。
 こういった関係者の支援でありますとか努力によります抜本的な経営再建措置によって、同社の経営状況につきましては、当期損益ベースにおいて毎年黒字で推移するなど安定した状況にありまして、輸送人員についても微増傾向ということでございます。
 以上のように、同社の抜本的な経営再建を支援してきたわけでございますが、地元におかれましては、神戸市の北部地域住民の鉄道運賃負担の軽減でありますとか利用者増を目的といたしまして、ただいま委員御指摘のように、兵庫県と神戸市から同社に対しまして、十一年度より運賃を低減するための補助が行われておりまして、この補助につきましては平成二十年度までと聞いております。
 以上のように、北神急行につきまして、北摂・北神地域の足としての重要な役割にかんがみまして、これまでも鉄道事業者、地元自治体の関係者が一体となってその利便性の向上に取り組んでこられたわけでございますし、平成二十年度以降の地域としての支援のあり方につきましても、関係者の合意形成に基づきまして適切に実施されるものと私ども国といたしましても期待しているところでございます。

北神急行のあり方について



赤羽委員 ぜひ、今るる御説明いただいたようなこれまでの経緯がありますので、その経緯が踏みにじられないような、変化を起こさないでいただきたい。運賃は今のレベルでもまだ高いという声が実態でありますので、ぜひ、兵庫県また神戸市とよく、丁寧に御相談に乗っていただきたいと思います。
 もう一つ、この点について言いますと、やはり私は、北神急行という、一区間だけの民間鉄道という形態そのものが余り正常なものじゃないんじゃないか。谷上から新神戸へのこの区間だけ乗りおりするというのは、新幹線に乗る客だけなんですね。谷上の駅の周辺というのは住民が少ないわけですので、そこから神戸電鉄で十五分ぐらい乗って大団地がある。そこの人が都会に出るとすると、三宮とか兵庫県庁前まで行くと、神戸電鉄、北神急行そして市営地下鉄と三回乗らなければいけない。初乗りが三度になるんですね。片道千円ぐらいかかってしまう。これは極めて異常な状況なんですね。
 ですから、私は、北神急行の抜本的なあり方ということも実は大きな課題になるのではないかということも、地元の議員として申し添えておきたいと思います。
 次に、関連するんですが、先日、地域公共交通の活性化の法案を出した意義として、宿利総合政策局長から、高齢化社会における自立した日常生活を図るということと、活力ある都市活動を支える、また観光振興、また環境面、こういったさまざまな面で地域公共交通の活性化を図っていかなければいけないという御答弁がございました。
 また、鉄道局長からも、近代化補助制度についても、平成十七年度からは、パーク・アンド・ライドで、駐車場、駐輪場や新駅については補助率を五分の一から三分の一に引き上げるですとか、また平成十九年度からは、駅を中心としたまちづくりを進める場合はしっかり国としても支援をしていく、こういった御答弁があったところでございます。
 私は、こういった意味での公的支援を拡充していくことは大変重要だということを先日の質問でも申し上げたんですが、鉄道事業者に対する公的支援を拡充していくという方向と同時に、私は、鉄道事業者もこれまで以上に公的な役割を果たしていく必要があるのではないか。駅を中心としたまちづくりということは、これからコンパクトシティーとかというまちづくりを考えた場合に、当然駅の果たすべき役割というのは大変大きなものがあるわけでございます。
 そういった中で、私、ちょっと具体的な例を申し上げますと、新神戸の駅が改修中なんですね。私はかねてより、新神戸の駅はもうちょっとしっかりしたものにならないのかということを再三ここで取り上げてきました。確かに今きれいになりつつあるんですが、はっきり言いますと、新神戸というのは、例えば観光都市神戸の玄関なんですね。ビジット・ジャパン・キャンペーンに対応できるような玄関口として立派な新神戸の駅であるかどうかということを、私はちょっと疑問を持たざるを得ないというのが第一点。
 また第二点として、ほとんど全国の鉄道駅が押しなべてそうだと思いますが、要するに鉄道利用客のことしか眼中にない。新神戸の駅周辺というのはかなりいい町なんですが、例えばその周辺に住んでいる人たちが新神戸の駅にあるレストランに食事に行こうとか、あそこにいいお店があるから買い物に行こうとか、当然そういうことがあってもいいはずなのに、そういった発想というのは全くないんですね。ですから、いつも駅の中にあるのは、昔の国鉄系列の何かまずいような食堂があったりとか、グルメ都市神戸で何が悲しくてこんなまずいものを出しているんだというような、何となく国鉄時代の名残をずっと引きずっているというような話で、駅ビルというのは一等地のはずなのに、その駅ビルがこんなに死んでしまっては観光都市神戸なんということは言えないというような指摘を直接させていただきました。
 私が言いたいのは、駅にこれだけ公的な支援を入れる以上は、民間事業者かもしれませんが、それはまちづくりの拠点なんだという意識をもっと持っていただきたい。商店街から見て不公平だという話があって、駅中のことは随分改善されていると思いますが、駅を中心としたまちづくりを進めていこうという中で、鉄道事業者が町のことを考えないで、自分たちの駅の乗降客のことだけ考えているというのは、いささか、ちょっとどうなのかな、こう思うわけでございます。
 こういったことについて、鉄道事業者も今後、支えていくんだから、もう少しまちづくりの中心としてそういう自覚を持って、駅前広場は自分の土地じゃないみたいなことを言って、結構混雑しているところがあるんですね。品川駅とか東京駅の前だってそうです。そういったところも、鉄道事業者も自分たちの役割を意識して、自分たちでもお金を出して、そういったことを整備することを提案するぐらいのレベルになってほしい。
 ですから、鉄道事業者として、駅舎のあり方、駅周辺のあり方をもう少し高度化していただきたい、こう私は提案したいのですが、この点について、鉄道局長の御所見をいただければと思います。

平田政府参考人 お答えいたします。
 ただいま委員の方から御指摘ございましたように、鉄道駅というのは、交通ネットワークの結節点であると同時に、まちづくりなどの観点におきましても地域において重要な役割を担っているということから、駅の整備に当たりましては、地元の意向でありますとか周辺の整備計画と十分連携を図りながら検討を進めていくことが重要であると認識しております。
 このため、従来から、私どもといたしましては、駅施設の整備を駅の周辺の整備と一体的に行うような場合にありましては、都市一体型の鉄道駅総合改善事業として補助を行うなど、鉄道事業者と地元の自治体などが連携して行う取り組みに対しまして支援を行ってきているところでございます。
 委員御指摘の山陽新幹線の新神戸駅の件でございますが、JR西日本におきまして、現在、旅客の円滑な動線の確保を図るための駅施設の改良を行うと同時に、これに加えまして、今委員おっしゃいましたように、神戸らしい商品の品ぞろえをふやすための店舗面積の拡張など、神戸の玄関口としてふさわしい駅となるような形で、ことしの夏ごろの完成を目途にリニューアル工事を進めていると聞いておるところでございます。
 いずれにいたしましても、まちづくりなどの観点も十分に踏まえまして駅整備が円滑に促進されるよう、私ども国土交通省といたしましても、ただいま委員の御指摘のように、鉄道事業者や地方公共団体など関係者を適切に指導してまいりたいと考えておるところでございます。

新神戸トンネルの移管について



赤羽委員 新神戸の改修については、今おっしゃられたとおりなんですが、実は、一階と二階部分がありまして、一階部分はがらんどうのままなんですよ。金もかかるので、二階はきれいになるんですが、ぜひ一階の部分の有効利用もしていただきたい。神戸市は遠慮をするんですね、民間の話ですからと。そうじゃないだろうということを、今御答弁があったようにぜひ御指導いただきたい、こう思います。
 次に、今、北神急行電鉄に並行して走っている新神戸トンネルというトンネルが実はございまして、これは、神戸市道路供給公社、これまた高い、七キロのトンネルなんですが、六百円かかるという。そこの阪神高速と接続をするものですから、阪神高速が五百円、トンネルに乗ると六百円、千百円かかって出てくるという、神戸市北区というのは公共交通に対しては大変ハンディを背負っている状況がございまして、かねてよりこの神戸市道路供給公社から阪神高速へこのトンネルを移管してほしいという声が地元から上がっているところでございます。
 今回、聞くところによると、近々、阪神高速北神戸線から新神戸トンネルの乗り継ぎに関しまして、従来千百円かかった料金を九百五十円で社会的実験を行うというニュースが流れておりますが、こういった正確な実施内容、またその実施時期、その目的は、将来的に新神戸トンネルの移管も視野に入れたものとしての社会的な実験、私たちはそう認識しておるわけでございますが、その点についての御確認を道路局長からお願いしたいと思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。
 まさに阪神の神戸線それから阪神の北神戸線をつなぐトンネルでありまして、乗り継ぐと両方の料金がかかる、五百円、六百円かかるということで、利用者の利便性の向上のための料金施策というのが必要というふうに認識しております。
 平成十七年五月から、神戸市、兵庫県、阪神高速道路株式会社、それから国土交通省近畿地方整備局で、新神戸トンネル有料道路と阪神高速道路とのネットワーク化に関する検討会というのを設置しておりまして、料金体系について種々の検討を行っております。
 こういうものを背景にしながら、ネットワークが有効活用されるような利用しやすい料金体系、そういうものを考えて、あわせて、料金の引き下げによる交通量あるいは料金収入へ与える影響についてもいろいろな分析が要ると思いますので、近々、社会実験を始めたいというふうに考えております。委員御指摘の、料金をどうするかということと、それから管理をどうしていくか、そういうものも含めて考えてまいりたいと思っております。
 いずれにしましても、昨年の十二月八日に閣議決定いたしました道路特定財源の見直しに関する具体策の四項目めで、「高速道路料金の引下げなどによる既存高速ネットワークの効率的活用・機能強化のための新たな措置を講ずる」とされておりますので、その一環として検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

阪神高速の料金体系について



赤羽委員 次に、今局長から御答弁がありましたが、十二月八日の閣議決定に関連して、高速道路料金引き下げに絡む話で、阪神高速の料金体系が対距離料金制に将来移行する、こういったことが平成十七年に発表されたかと思うんですが、この対距離料金制への移行というのは実質的に運賃の値上げにつながるケースが多い。特に、兵庫県での利用者にとっては実質的な値上がりになるということで、批判の声も大きかったわけでございます。
 この対距離運賃制への移行について、その後どうなっているのか。今検討が行われているかと思うんですが、その現状についてお聞かせいただきたいということ。
 私、対距離運賃制というのは、ある意味では一つの道理かと思いますが、実態として利用者の多くが運賃の値上げになるということであるならば、結局は利用者自体が減ってしまう。こういうことでありますと、何のための高速道路なのかということにもつながりますし、今局長が最後の方に御答弁いただきました高速道路の料金引き下げということも、この対距離運賃制の導入とうまく絡めて、実質的な運賃の値上げにつながらないような取り組みをお願いしたいと思うのでございますが、この点について御答弁いただきたい。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のように、まさに阪神の対距離制についても、具体策に沿って検討を進めるべき事項というふうに認識しております。
 そもそも、対距離制に移行というのは、平成十五年十二月の道路関係四公団民営化に関する政府・与党申し合わせにおきまして、平成二十年度を目標として、利用の程度に応じた負担ということを、相当阪神のネットワークも伸びてまいりました、均一料金だけでは、短距離と長距離、それぞれ利用される方に差があるということで、利用の程度に応じた負担、それが適当だろうという御指摘だったと思います。
 対距離料金の導入に当たりましては、平成十八年三月、昨年の三月に締結した協定におきまして、長距離利用者の負担軽減措置の導入を検討するということがあわせて協定の中に書いてありまして、昨年の十二月から距離別料金の社会実験を行っておりまして、高速道路や一般道路の交通に与える影響や効果についても検討しているところでございます。

スーパー中枢港湾について



赤羽委員 どうも道路局長の答弁は一貫して歯切れが悪いのであれなんですが、次も質問しようかと思いましたけれども、多分ちゃんとした答弁が期待できないので答弁は要りませんけれども、その中の、十二月八日の閣議決定の中で、真に必要な道路の建設と。真に必要な道路とは何ぞやと。これは私何回も、再三提案しているんですが、スーパー中枢港湾ですとか国際空港のアクセス道路というのを、例えば国際物流道路というような指定をして、それを真に必要な道路としてまず優先的な建設を進める、例えばこういうようなことをしないと、また昔の、自分の地元が一番真に必要な道路だみたいな話になってしまいますよという提案をいたしました。
 多分、きょうの段階で、どうなっているかという検討はされないと思うんだけれども、年末までには何らかの決着をしなきゃいけないので、また次の機会に答弁を求めますので、きょうは答弁保留で結構ですけれども、よく検討をしておいていただきたい。ちょっと時間の関係があって、あと三十分できればずっとやるんですけれども。
 今申し上げましたスーパー中枢港湾も、全国各地で指定されて着工が始まっているところでございます。これはそもそもアジアの、シンガポール、香港、釜山、こういったところと国際競争力を伍していかなければいけないということで、港湾コストの約三割の低減、あとリードタイムの短縮、シンガポール港並みに一日でやっていく、このスピードのアップとコストの低減、こういったものを考えてきたプロジェクトだと思います。今、具体的なハード、十六メーターバースは着工が始まったばかりだと認識をしておりますけれども、その取り組み状況について、時間が短くて申しわけないんですが、局長から端的にお答えください。

中尾政府参考人 お答えいたします。
 スーパー中枢港湾のハード面での整備でございますけれども、まず、日本から北米、欧州といった基幹航路において、八千個積みという大きなコンテナ船が主流となると見られております。そのため、上海とか釜山新港ではこれに対応する水深十六メーター級の大水深岸壁の整備が進められております。
 我が国においても、アジアの主要港と比べて遜色のないサービス、コストを実現するためのハード面の整備が必要だと思っております。
 このため、スーパー中枢港湾においては、三港を指定しておりますけれども、水深十六メーター級の大水深岸壁並びに奥行き五百メートル程度のコンテナヤードを擁する次世代の高規格コンテナターミナルの早期整備を行っております。
 また、スーパー中枢港湾で認定を受けました民間ターミナルオペレーターが実施する荷さばき施設などの整備に対しても無利子貸し付けを行うなど、ハード面の整備に努めているところでございます。

赤羽委員 もう少し時間があれば少し具体的にしたかったんですが、今言われたことのエッセンスとして、やはりコンテナバースを一貫的に使うということで、メガターミナルという新しい仕組みをつくられています。しかし、いまだにメガターミナルの会社をつくれていない港湾も、東京港湾などはまだできていないと聞いておりますので、これは、いろいろなことが乗り越えられないようだったらスーパー中枢港湾の指定を外すぐらいの強い決意を持ってやらなければ、私は国の港をつくるんだということにはならないと思うんですね。ぜひその点も御検討いただきたいということ。
 あと、深いドラフトのバースをつくった、ハード、ソフトを整えたと。しかし、やはり物流というのは物がないと、結局は、港はできたけれども実質的な魂は入らないというふうな話ではしようがないので、やはり臨海物流拠点というか、産業競争力強化ゾーンといったものを今御検討されているとも伺っておりますが、こういったことが実はすごく大事なのであって、港の建設と同時に、そういったことについて、周辺で接続というか、よりシームレスな接続ができるような取り組みが必要なのではないかと私は思っております。実際、そういった観点で国土交通省として取り組みも進められていると聞いておりますので、最後に大臣の御所見をいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

冬柴国務大臣 少子高齢化が進む我が国におきまして、引き続き我が国のGDPが持続的に成長していく環境を整えるためには、どうしても外国、とりわけ十三億人という民のある中国の活力というものを日本に取り入れる必要があるわけでございまして、私は、そういうものを取り入れるためには、四面環海の我が国におきましては、物流の九九・七%までは外航運輸に頼っているわけですから、そういうものが円満に日本の港に着くように、そしてまた陸揚げされるように、陸揚げされたものが生産拠点なり消費拠点に円滑に運ばれるように、そういう道路のネットワークをきちっとするということが大事だと思います。
 委員が、国際物流道路というもので、そういう港湾とか空港とそういう消費・生産地と、例えば大阪湾でいえば大阪湾岸道路を全部きちっと張りめぐらす、途中で切れていたのではしようがないんじゃないかという思想があると思います。私も全くそのような感じでございますので、国土形成計画の中で、広域地方計画の中にこういうものを位置づけてやっていただくということが大事だろうと私は思います。そういうことになれば、国はそれに対してきちっとした対応をしていくことができると思うわけであります。
 一方、道路の特定財源についての具体策の中で、十九年じゅうに、ことしじゅうに中期計画を、タックスペイヤーに対する説得として、受益の面として、こういう道路をつくりますという姿を示すという約束をしております。その中には、今言ったような国際物流道路という形での入れ方というのは、今までの沿革から実際なかなか難しいと思うんですよ。したがいまして、そういうものについては国土形成計画の中で、近畿ブロックとしてこういうものが必要だという位置づけを二府四県できちっと形づけるということが必要ではないか、私はそのように思うところでございます。
 いずれにいたしましても、活力を取り入れて、そしてそれぞれのブロックが外国とダイレクトに結んで、観光あるいは物流、人流というものが円滑に進まなければ、日本の我々の子供や孫たちが自信や誇りを持てるような国をつくっていくことはできないと私は思っております。今一番大事なときだというふうに思っておりますので、またいろいろな御指導をいただきたいというふうに思っております。

赤羽委員 どうもありがとうございます。道路局長への質問も御答弁いただきまして、ありがとうございました。
 特に、今官邸でアジア・ゲートウェイ構想というのが会議が持たれていて、どうも何か航空のことがいろいろニュースになっておりますが、私は、まさにアジア・ゲートウェイというのは、このスーパー中枢港湾を初めとする港湾のことが本来なら一番真ん中に来なければいけない話だと思いますので、このスーパー中枢港湾を中心としたアジア・ゲートウェイというものが確立できるように、ぜひ国土交通省としても御尽力いただきますことをお願いしまして、ちょっと時間をオーバーしましたが、私の質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。