衆議院予算委員会(2017年1月26日)

赤羽委員 おはようございます。公明党の赤羽一嘉でございます。
安倍総理、新しい年、二〇一七年が幕あけとなったわけでございますが、欧米諸国、各国の政治状況を見てみると、戦後七十一年、形成された世界秩序という大前提が少し変わってくるリスクがあるのではないか。不安、混乱のリスクがあるような一年のスタートでございます。
しかしながら、その中でも我が国は、しっかりと政治を安定させ、そして、国益にかなう政治、また希望が行き渡る社会を目指してしっかりとした政権運営をしていただきたいと思いますし、私たち公明党も、責任ある政権与党としてしっかり政治に取り組んでいく決意でございます。
きょうは、そうした、国民のための、国益にかなう政治に資する五十分間の質疑をしたいと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
本来は今回の補正予算また来年度の当初予算についてさまざまなやりとりをしたかったわけでございますが、残念ながら、今話題となりました今般の文部科学省における再就職規制違反について一言質問させていただきたいと思います。
今回、このニュースを聞くにつけ、私が知る限り、他の省庁の再就職に対する常識とは全くかけ離れた状況であることに大変驚きもしましたし、あきれもしました。与党でありますけれども、今回の事案、全く守る気はありません。しっかりと本当にこのことについては、総理も先日の本会議で発言されているとおり、国民の信頼を揺るがすものであり、決してあってはならないことだ、私もそう思っております。
そこで、先日、松野文科大臣から、監視委員会からの指摘を踏まえて、文科大臣のもとに再就職等問題調査班を設置して、再就職等規制違反の疑いのある行為等の全容の解明に向けた調査を行うとの御発言がございました。
この御発言を受けて私たち公明党は、誰もが納得するような調査を速やかに行うためにも、この調査には第三者の専門家を加えるべきだと繰り返し文科省に求めてきたわけでございますが、残念ながら文科省からは、調査においては、国家公務員法第百六条の十八第二項の規定に基づき、再就職等監視委員会に対して調査方針や調査項目等の報告を逐次行うことを求められており、その中で公正中立性を確保していきたいとの答えしか得られなかったのでございます。
この監視委員会のもとに文部科学省の調査を進めるので中立性が確保されているという理屈は、これは役所の中の理屈として通るかもしれませんが、国民には全く理解を得られることはできない、私たちはそう思っております。
今回の事案で余りにも大きく傷ついた文部科学省の信頼を回復する一歩とするためにも、我々公明党が今回重ねて主張してきたとおり、今回の再就職等問題調査班が行う調査につきましては、弁護士など法曹資格を持つ第三者の専門家を入れることと、再就職等規制違反の疑いのある行為等の全容解明に向け徹底した調査を行うということが第一点。そしてその調査報告も、三月までというようなことを言っておりますが、こうした感覚ではなくて、期限もできるだけ速やかに行うべきだ、大臣のもとでしっかりやるべきだ、こう思います。
以上二点について、松野文部科学大臣からの答弁を求めます。
松野国務大臣 このたびの文科省の再就職等の規制違反において、国民の皆さんの文部科学行政に対する信頼を著しく損ねることになりました。省として猛省をして信頼回復に努めていく所存でございますけれども、その第一の前提は、委員御指摘のとおり、徹底した調査を行うことにあるかと考えております。
その調査班の構成については、先ほど委員からお話をいただいたとおりの方針を当初打ち出しておりましたけれども、より国民の皆さんに御納得をいただくものとして、公務員制度等の有識者また弁護士等にこの調査班の中に入っていただいて、先ほどの、関与ということに具体的にはどうするのかという御質問に関して、検討というお話をさせていただきましたけれども、入っていただく形の中で、しっかりと国民の皆さんから御納得いただける体制を組みながら調査を進めてまいりたいと思います。
あわせて、調査のスケジュールの問題でございますけれども、この三月三十一日というスケジュールは、調査対象が現役の職員また関係OBにわたるものでありますから、相当大量の調査が必要となりますが、三月三十一日を越えますと、またこれは定年等で退職、再就職をしてしまうこともあり、それまでに調査を終了し厳正な処分を行うことが必要との再就職等監視委員会からの御指摘も踏まえてこの日程を設定しておりますけれども、最大限これは御報告できる調査内容を早めて皆様方に御報告できる体制で進んでまいりたいと思います。
赤羽委員 大変厳しい状況の中で、お手盛り批判が決してされないように、しっかりと、平時ではないんだという前提で指導していただきたい、こう思っております。
次に、他の省庁で同様の事案がないかどうか、また、そうしたことがあったときに、本当に、先ほどの指摘のあるように、法改正の必要があるのかないのか、こういったことも、やはり政府全体の問題でありますので総理のリーダーシップが必要だと思っておりますが、総理の御見解をお示ししていただきたいと思います。
安倍内閣総理大臣 今回の事案は、あってはならないものであり、国民の公務員制度に対する信頼を揺るがすものだ、このように認識をしております。
そこで、文部科学省において、全容の解明に向け徹底した調査を行い、再発防止策を講じてもらいたいと思います。その際、今文部科学大臣から明言したように、しっかりと外部の目を入れて行うのは当然のことであろうと思います。
現行制度による厳格な監視が機能したからこそ本事案が明らかになったものではありますが、本事案で生じた国民の疑念を払拭するため、山本国家公務員制度担当大臣に対して、同様の事案がないかどうか全省庁について徹底的な調査を行うように指示をいたしました。
今後、準備ができ次第、調査をし、その結果を明らかにしていくわけでありまして、その中において、必要なことは何でもやるとの考え方のもとで、国民の信頼を確保していく考えであります。
赤羽委員 公明党も、引き続き、この件についてはしっかりと監視をしながら対応していきたいと思っております。
次に、今回の教育費用負担軽減策について、質問を移らせていただきたいと思います。
公明党は、結党以来、誰もが公平に良質な教育を受けることのできる社会を目指して、義務教育における教科書無償配付を初め、奨学金の抜本拡充など、これまでさまざまな教育費用負担軽減策を実現してまいりました。
このパネルにございます、お手元の資料にも配らせていただきましたが、平成十年、自自公連立政権参加の直前に自民党の皆さんと結んだ政策協定の目玉は、大胆な少子化対策、子育て支援策の大幅拡充並びに教育費用の負担軽減でございました。
この平成十年、有利子の奨学金、これまで受給要件に成績要件がありました。これは、しかし、成績にかかわらず学習意欲のある人は奨学金を受けられるようにしようということが、当時、自民党の政調と公明党の政調で合意がなされ、そして、翌年、平成十一年に、きぼう21プランという新しい奨学金が、成績要件にかかわらない有利子の奨学金ができたわけでございます。
平成十年度は、実は、有利子が十一万人、無利子は二十七万人、計三十八万人の受給状況でございましたが、平成十一年度、きぼう21プランの初年度は、十一万人であった有利子奨学金が二十四万人、倍増以上しまして、五十二万人にふえました。それから、この棒グラフのように、ずっと上昇をして、平成二十五年度には百四十四万人になったわけでございます。今も百三十万人を超えている状況が続いております。
このように、奨学金制度は大幅に充実をしたものの、他方、貸与総額が大きくなり、不況も重なって、この奨学金の返済困難者の増加、そしてまた家庭の厳しい経済状況から進学そのものを断念する生徒の問題が起こってきているわけでございまして、こうしたことの抜本的な対策が求められているのは、もうこれは総理が重々承知されていることでございます。
他方、グローバル化や情報技術の急速な進展によりまして、世界を取り巻く環境が急速に変化している中で、特に高等教育段階の充実が求められております。
私もびっくりしたんですが、OECD諸国の中では、学費はただでありながら、給付型の奨学金が大変充実している国も少なくございません。まさにこれは、学費のための奨学金ではなくて、勉強、学ぶための環境をつくる、アルバイトなんかはしなくて学業に専念できるような状況をつくるんだ、こういったOECD諸国も少なくない。私たちも、しっかりこの点についてはやはり考え方を改めていくべきであるというふうに思っております。
その中で、今回実現することになりました、パネル二、資料もお手元に配っておりますが、大学等奨学金事業の充実のための三本柱の政策が実現することは、私は大変画期的だというふうに思っております。
一つ目の給付型奨学金制度、これは、改めて申し上げるまでもなく、我が国で初めての制度でございます。
さきの衆議院の本会議で、野党の方、民主党の御代表の方から、来年度は、月額四万円、対象人数はわずかに二千八百人、本格実施する再来年度以降も対象規模は一学年当たり二万人にすぎません、これでは余りにも不十分、やったふりをしているだけです、こういう批判がございましたが、御自身たちのことをすぐ忘れてしまうのかな、こう思ったわけでございます。
お配りの資料一に明らかに事実関係を記しているように、これまで給付型奨学金の我が国の政府のチャレンジは、実は、民主党政権下の平成二十四年度の予算編成のときに、文部科学省から、約二万人の学生を対象とした給付型奨学金百四十三億円の概算要求が出されたわけでございます。しかしながら、それに対して、政府予算案を編成する過程で、必要な財源を用意することができず、結局ゼロ査定となったのが歴史でございました。
このことについて私はとやかく言うつもりはございませんが、なかなか簡単ではないことが、今回は、私たち公明党の中の、教育改革推進本部、また給付型奨学金推進プロジェクトチーム、そしてまた一億総活躍推進本部というそれぞれのセクションから数次にわたる給付型奨学金の実現の提言をさせていただくとともに、公明党内で十四回、自民党では八回のプロジェクトチームの会合を開き、合同でも開かせていただきました。その中で、具体的な財源を見つけ、提案し、今回の実現にこぎつけたものでございます。
今回、この法案の成立を待つと再来年度からの支給ということになってしまうために、何とか少しでも早くということで、住民税の非課税世帯の、私立の自宅外生や児童養護施設退所者等の特に経済的に厳しい学生には、来年度から月額四万円を先行実施することを決定したわけでございます。
また、これだけでは十分じゃない、児童養護施設退所者等の生徒さんは、実際に大学に進学するときには入学金の問題が一番バリアが高い、この入学金に対する支援が必要不可欠と、我が党の強い要望を受けていただきまして、今回、入学金相当額二十四万円も追加支給されるということが実現することになったのは、私は大変高く評価されるべきものだというふうに思っております。
二つ目の無利子奨学金につきましても、非課税世帯の学生約二万人については、今回、総理の英断で成績基準を実質的に撤廃するということが決まりました。また、これまで無利子の貸与基準を満たしていながら予算上の制約から貸与されなかった約二・四万人のいわゆる残存適格者の皆さんにも、無利子奨学金をこの四月から支給対象とするなど、大変大幅な充実がなされることになりました。
そしてまた、返済が困難だという返済困難者対策として、新たに、卒業後の所得に応じた返還月額を設定できる所得連動返還型制度という新しい制度を導入することになります。
お手元の資料二に書かれているように、従来の返還月額は平均が一万四千四百円であるものが、最低返還月額二千円からとしました。年収二百万円で月四千七百円、年収三百万円で月八千九百円と、年収に応じた返還額が決められる大変優しい制度でございますが、その上に、年収三百万円以下の場合は通算で十年間返還猶予を認めることとなっております。
今回の大学等奨学金事業の充実のための三本柱政策は、私は画期的な第一歩であるとは思いますが、これにとどまらず、これから現場のニーズを調査しながら、規模の拡大や柔軟な運用を進めるべきだと考えますが、この点について文部科学大臣に御答弁をいただきたいということ。
同時に、もう一つ問題があるのは、もう既に奨学金を借りていて返還が困難になった既存の返還困難者に対する対策については、今回新たに導入される所得連動返還型制度と同様の措置をとるということがやはり大事だというふうに考えております。この点についても、さまざま文部科学省は今取り組みをされていると思いますので、あわせて御答弁をいただきたいと思います。
松野国務大臣 意欲と能力のある学生が経済的な理由によって進学等を断念することがないように、安心して学ぶ環境をつくる、その第一は、学生の経済的な負担の軽減にあるかと思います。
来年度からの施策に関しましては委員から御説明をいただきましたけれども、住民税非課税世帯の子供たちに係る成績基準の実質的な撤廃をするとともに、残存適格者を解消し、必要とする全ての学生が無利子の奨学金を受けられるようにしてまいります。
さらに、返還負担を大幅に引き下げるために、お話しをいただきました所得連動返還型奨学金制度を導入することとしております。
加えて、経済的な理由によって進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しするために、貸与型の奨学金に加えて、新たに、返還の必要がない給付型奨学金を創設することといたしました。
これらの取り組みによりまして、教育の機会均等の実現を図り、一億総活躍社会の実現に向けた大きな一歩としたいと考えております。
給付型奨学金につきましては、まず、制度を当面、安定的に運用し定着を図ることで、進学の後押し効果を十分に発揮することが重要であります。
高等教育の負担軽減については、必要な財源を確保しつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
既に奨学金の返済に入っている方々に対する軽減策という御質問でありますけれども、現在、奨学金返還中で返還が困難な方につきましては、所得が低い場合に返還を猶予する返還期限猶予制度がございます。返還月額を二分の一に減額をして返還する減額返還制度によって、返還負担の軽減を図っておるところであります。
その上で、これらの措置を講じてもなお返還が困難な方につきましては、既存の減額返還制度をより柔軟に活用することなどにより、さらに返還負担を軽減すべきとの方向が有識者会議において示されておりまして、同会議の議論を受けて、文部科学省といたしましても、返還月額を今の二分の一から例えば三分の一に減額をし、より長い期間をかけて返還ができる制度へ拡充するなど、返還が困難な方のさらなる負担軽減策について検討を進めてまいりたいと考えております。
〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕
赤羽委員 今回の奨学金の返還の問題というのは、既存に返せない方が相当いらっしゃるということがそもそもの出発点でありますので、今大臣がお示しになられたような柔軟な、また低減の返還額でできるように実施をしていただきたいし、これは周知徹底が大切だと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
加えて、奨学金を充実させるだけで全て事足りるかというとなかなかそうではなくて、例えば、国立大学の授業料は、この三十年間で、三十年前は年間三万六千円だったんですね。今や現状は五十三万五千八百円になっているわけです。やはりさまざまな理由があったと思います。こういった現状の中で、授業料の減免制度というのはやはり大事だなと。奨学金の拡充とともに、二本柱でやっていかなければいけないのではないか。
このパネルにも出ていますように、着々とこれも増加していただいておりまして、来年度は、国立大学の対前年度比〇・二万人増、全体の学生数の一割強に当たる六万一千人の方が減免を受けられる。私立大学については対前年度一万人の増加でございまして、この点についても、我々もしっかりと求めてまいりますが、御答弁は結構でありますけれども、大臣としても、奨学金だけではなくて減免制度についても手厚い施策を打っていただきたいと本当に強く要望しておきたいと思います。
この教育費用問題について、最後に総理に御質問させていただきたいと思います。
今回、総理の施政方針演説では、大変大きな時間を割いて、未来への投資である教育投資について熱を込められて語っていただきました。
私も、この教育投資というのは国のあり方の根幹そのものでありますし、財源の制約を受けるのはやむを得ないにしても、教育投資が財源の制約で十分に行えない現状は、ぜひとも安倍総理のリーダーシップで突破をしていただきたいと強く思うわけでございますし、公明党としても、その点については最大の協力は惜しまない決意でございます。
具体的な提案でありますけれども、今回新たに創設されることになりました学資支給基金、これは七十億円で積まれるわけであります。しかし、この基金は民間企業、団体からの出資も可能とされております。欧米の多くの民間企業というのは、社会貢献の一環として独自のスカラシップを形成している企業がたくさんございます。社会に有為な人材づくりというのは、私は、国の仕事だけではなくて、官民挙げての責務として考えるべきだというふうに思っております。
現在文科省が推進をされております、きょうはパンフレットを皆さんのお手元に配っておりますが、トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム、これは、多くの、百八十社の民間企業、団体が出資、協力をしていただいて、二百億円基金を積もうと頑張っている。うちの樋口政務官も一軒一軒企業を回って頭を下げてお願いしていると承知をしております。
一万人の留学生、返還が要らない給付型の留学生資金をつくられているということであります。今はまだ百億円ぐらいだというふうに聞いておりますけれども、こうしたことを、今回の学資支給基金にも民間企業にぜひ参加をしてもらいたい。例えば、経団連の所属の企業は千数百社ありますが、一億円と言うと少し多く言い過ぎかもしれませんが、それで一千億円以上の基金ができるわけで、そうなるとがらっと奨学金の世界が変わる、私はそう思っております。
そうしたことも含めて、ぜひ、総理はこのことについては相当深い思いがあるというふうに承知をしておりますので、総理の御決意を伺いたいと思っております。
安倍内閣総理大臣 日本というのは資源がない国でありまして、まさに人間こそ、人材こそ資源であります。そこで、奨学金等の充実を図っていくことは大変重要であります。
新たに創設する給付型奨学金については、制度を安定的に運用するため、日本学生支援機構に基金を造成することとしています。この基金には、毎年度、予算の範囲内において政府から補助する資金をもって充てることとしておりますが、御指摘のような政府以外の方々からの寄附等を充てることも可能であります。
企業や個人からの寄附を促進するため、政府としては、奨学金事業を行う学校法人や公益法人等に対して寄附を行った場合、所得税や法人税を軽減しているところであります。新たに創設する給付型奨学金のための基金への寄附についても税の軽減が適用されることの周知を含め、文部科学省を中心に関係団体に対して広く協力を呼びかけていきたいと思っております。
このトビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム、これは下村大臣のときにこれをやろうということになりまして、なかなかこれは難しいのかなと思ったんですが、大臣みずから随分回っていく中において、御本人が留学経験がある経営者等は、それはぜひ、自分はあのときの経験があるから今日がある、こんなことで賛同もしていただきました。
やはり民間と一緒にこれを、しっかりと子供たちの未来をつくっていく、そういう決意で頑張っていきたいと思います。
赤羽委員 我が国は残念ながら寄附文化の土壌がまだまだだと思っております。しっかりした企業ならばこの基金に参加しないのは恥ずかしいというような新しい状況をぜひつくっていただきたい、私たちもしっかり応援していきたい、こう思っております。
次に、災害対策について移らせていただきたいと思います。
糸魚川の今回の大規模な火災についても質問したいと思いますが、先ほど同様の質問が出ました。今回、やはり消防団員の皆さんが懸命に消火活動に参加をしていただいて、十七名の負傷者のうちの十五名が、消防団員の皆さんがゴーグルをつけていなかったということで、火の粉でけがをしている。
私、これは、実は平成二十五年の十二月に議員立法で、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律というものが成立をして、その中で、装備品の基準が定められ、地財措置も大幅に拡充されたと承知をしているわけで、このゴーグルなんというのは当然装備されていてしかるべしだ、こう思っております。
この点について、いま一度、今回の糸魚川の大火災を契機に基準装備品の付与というのが徹底されるべきだと思いますし、同時に、私の地元の神戸でも、消防団の団員というのは大変人手不足というか、なり手がいなくて、維持が大変な状況です。消防団がないとしかしここは本当に大変なことになるので、この人手対策も含めて、総務大臣から御見解をいただきたいと思います。
高市国務大臣 今回の糸魚川の火災で負傷された消防団員十五名のうち、目の痛みを訴えられたり、目に異物が入ったという方が十一名おられます。
今おっしゃいましたゴーグルも当然の話でございますが、先ほど答弁しました、あしたから開催します糸魚川市大規模火災を踏まえた今後の消防のあり方に関する検討会の検討課題の中で、強風下での消防活動における消防団員の安全管理のあり方も論点の一つでございますから、現在装備されている、確実に装備品として手当てされているもの以外にも必要なものがあるかと思います。しっかりと検討会の報告を踏まえた上で、速やかに取り組んでまいります。
そして、安全靴、ライフジャケット、防じんマスクなど、消防団の装備の充実を図るために、平成二十六年二月に消防団の装備の基準を改正して、あわせて交付税の措置も大幅に引き上げたんですが、問題は各地方公共団体がそこに交付税を使っていただけるかどうかということでもありますので、消防団の装備の改善を集中的、計画的に進めていただくようお願いを続けてまいります。
それから、消防団への加入促進ですが、これも、先ほど委員がおっしゃいました消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律に基づいて力を入れております。
私が総務大臣に就任したのは二十六年の秋でございましたけれども、その翌年の二月に、まずは地方公共団体や各経済団体に書簡を発出しまして、またいろいろな会合に私も出かけてまいりまして、被用者や公務員の方々が消防団に加入するための御協力をお願いしたいということ、あとは、被用者の方々が消防団でも訓練をされるとかいう日もありますので、そういった活動への御理解をいただきたい、協力をいただきたいということ、また、消防団活動をしておられることを正当に評価していただきたいということ、また、消防団活動の経験のある学生さんが就職活動に来られたようなときに、これも評価していただきたいというお願いを申し上げてまいりました。
今、消防団員数の減少幅というのは四年連続で縮小傾向にございます。この理由は、特に女性と学生の加入促進について強力に働きかけをしました。特に大学生などに対する支援の一環として学生消防団活動認証制度を創設しまして普及を図っておりますし、今、女性、学生の消防団員数はふえてきておりますので、引き続き取り組みを続けてまいります。
赤羽委員 今月の一月十七日に阪神・淡路大震災から二十二回目の一・一七を迎えたわけでございますが、この一・一七、毎年、ひょうご安全の日宣言というものが発表されるわけでございます。この中に明記されていることは、阪神・淡路大震災の教訓をもっと生かし、我が国、また、それぞれの地域の防災力を高めるということがいつも強調されております。
どんな教訓なのかということを私なりに、阪神・淡路大震災のときは新人議員で、みずからも被災者として被災をし、それから二十二年間、日本の防災政策にかかわりながら、防災の現場に足を運びながら思っていたことを、きょう、具体的な提案をさせていただきたいと思います。
パネルに書いてありますように、大災害が起こりますと、復旧復興の中核は被災自治体が担うわけでございます。被災自治体は、実は、通常業務を行いながら復旧復興、緊急の対応をする。
具体的には、まず、被災者の安否確認を行う。そして、避難所の設営、運営を行う。また、救援物資の輸送システムの構築、配布を行う。そして、それぞれの被災世帯の罹災証明の発行を行う。また、被災者のこれからの生活再建の支援、相談、そしてそのための情報提供を行う。また、全国から来ていただくボランティアの皆さんの受け入れを行う。そして、仮設住宅の土地を見つけ、設置をし、運営を行う。
それ以外にも、要援護者への対応ですとか、DMATやDPATといったお医者さんたちが来たところの対応、また、弁護士さんとか税理士さん、建築士さん、不動産鑑定士さん、中小企業診断士さんといった、復旧復興のためのさまざまな士業の皆さんとの連携等々、被災自治体の職員の皆さん自身が被災者でありながら、そして、災害の法制というのに大体は余り精通されていないんですね、日常的には必要が余りありませんから。大体が、実際被災に遭うと、マニュアルを見ながらそれに対応しているというのがもう毎回の常です。
ですから、よくわからない、不十分な知識の中でやる、時間がかかる、このことによって被災者との間でさまざまなもめごとが起こったり、混乱が起こる。本当にやってこなければいけないこともやり残されてしまうというようなことが繰り返されてきた。これは何とかしなければいけない、私はそう実感をしております。
阪神・淡路大震災でもさまざまなことを国のもとでやりましたけれども、例えば、震災によって障害者となられた方というのが数多くいらっしゃいましたが、実は、命が助かったからいいじゃないかというような形で、具体的な支援というのはほとんどとられていなかった。もっと正確に言うと、どのくらいの方が震災障害者になられたのかという調査も、実は、発災後十五年目にして初めて、NPOの皆さんの働きかけで兵庫県と神戸市が調査を行ったというのが実態なんです。
震災障害者の皆さんは、結局、取り残されたという感が強いし、障害を持たれているということで、その苦しみをずっと引きずってきているというのが現実なんです。
唯一の支援策というのは、弔慰金法の中で、一級障害者に対して、亡くなったと同様の両腕、両足が切断したとかということなので、ほとんど、多くの震災障害者は対象とならないというような現実もあります。
私は、こうした仕組みをどうにかしなきゃいけないというのはこれまでも委員会で発言をしてまいりましたが、昨年、大水害に遭われました岩手県の岩泉町を委員会として視察をしたときに、やはりこのシステムでは回らないということを確信いたしました。
岩泉町というのは全国で一番広い面積の町であります。二十三区より広い、広大な面積で、人口が少ないことによって町役場の職員も極めて限られている。この人たちに先ほど言ったような復旧復興の中核を担わせるということは、抜本的に無理だと私は思っております。
こうした認識というのは恐らく政府とも共有していて、熊本地震のときには、政府のリーダーシップで、各省庁から幹部職員も含めて専門的な人材を幅広く被災地に派遣していただいたということで、私は評価をできると思っております。しかし、残念ながら、全体調整を図る仕組みがなかったり、応援体制の偏りや連携が不足しているというようなことで、やはりつけ焼き刃ではなくて恒常的な組織づくり、また専門人材の育成が必要なのだというふうに私は確信をしているわけでございます。
今回、先ほどの御答弁にもありましたが、税制については、毎回毎回、災害が起こるたびに税制の支援制度というのは特別立法で措置をしていましたが、今年度からは恒常的に、オートマティカリーに、災害が起こったらとるべき税制は自動的に作動する、これは私は大変よい仕組みができたと思っております。
しかし、これは、税制だけではなくて、実は、先ほど言いましたような復旧復興、やらなければいけない復旧復興はパッケージとして何があるのかというのは国の責任のもとでつくって、それを実行する部隊、人材を育成して、大災害が起こったときにはその被災地に派遣して、被災自治体に成りかわってルーチンの復旧復興政策をするべきだ、私はそう考えておるところでございます。
これは私一人で考えているのではなくて、自民党も平成二十六年八月には緊急事態管理庁の提案があったり、自公両党で東日本大震災の教訓を踏まえて防災庁の必要性が提案されたり、また、関西広域連合では、兵庫県、大阪が中心となって平成二十七年に防災庁設置の検討会が実は持たれておりまして、数次にわたる提言もされているわけでございます。
DMATとかDPATというお医者さんの派遣というのは、やはり専門家じゃないとできないからということで専門家に任せている。しかし、私は、復旧復興のための行政というのは、実はこれも専門家じゃなきゃできないというふうに考えなければいけないんじゃないかと思います。
防災担当の大臣、多分いろいろ兼務してお忙しいと思いますが、これだけ災害が多発化し、複雑化し、さまざまな対応をしなければいけないんですから、ぜひ専任の担当大臣がトップにつく組織をつくって、強い調整官庁として各省庁の長になって復旧復興の指揮、コントロールができるような組織づくりが私は絶対必要だというふうに思っております。
加えて、首都圏に一極集中の中枢機能、この維持、継続のためにも、いざといったときのためのリダンダンシーの確保、これは必要な危機管理だと思います。
なかなか、こういう防災庁云々というと、いきなりは通らない話だと思いますし、すぐ、行政改革と逆行するというようなことで冷たくあしらわれてきましたが、これは、私も政治家として二十二年間命がけでやってきた、政治生命をかけて、必ず必要なものだというのが私の主張でありまして、今すぐにとは言いませんけれども、私のこの主張に総理にはぜひ耳を傾けていただいて、総理のリーダーシップで検討の場をつくってさまざまなことを進めていっていただきたいと強く思うわけでございますが、総理の御見解をいただきたいと思います。
〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕
安倍内閣総理大臣 委員御指摘のような問題意識を政府としても有しております。
二十七年三月、関係副大臣会合において、統一的な危機管理対応官庁の創設などの政府の防災機能の強化について議論が行われたところであります、これはもう委員御承知のとおりでありますが。その結果、組織構成にかかわらず、複合災害への対処のあり方を含め、関係省庁が互いに緊密に連携することが重要であることが確認された経緯があります。
大切なことは、国と自治体の双方において、平素から関係業務に精通した職員を養成し、一たび災害が発生した場合には直ちにこれらの職員を被災地に派遣し、国と自治体との適切な役割分担のもと、被災自治体が早期に復興に取り組める体制を整えることであると認識をしております。
このような観点から、政府としては、熊本地震の際には、熊本県に設置した現地対策本部に災害対策業務の責任者等を派遣しまして、被災地のニーズを把握して国が行う各種の支援策の連絡調整を行う一方、現地対策本部が把握した被災自治体のニーズに基づき、全国知事会や指定都市市長会に働きかけ、他の自治体職員が被災自治体に派遣されて罹災証明の交付等に従事するなど、災害自治体が復興に向けた体制を早期に構築する上で一定の成果を上げたものと認識をしております。
政府としては、こうした経験を踏まえて、ワーキンググループを設けて災害対応のあり方について検討を行い、地方公共団体への支援の充実を柱とする報告書を取りまとめたところでありまして、今後とも、その成果を生かして、国、都道府県等の連携による応援職員派遣の仕組みなど、被災自治体への人的、物的支援の充実に取り組むとともに、委員御指摘の専門家による復興支援についても今後検討してまいりたいと思います。
今回我々がやったことは、まず毎日本部を開く、それで、現地本部と常に連携しながら、ニーズを聞くだけではなくて、我々が国として把握したことにおいてはプッシュ型で地方に支援物資を送る、あるいは、我々が派遣する専門家等についても、こちら側の職員についても、熊本で任務を経験した人物を送り、より緊密に連携するようにしたわけでございまして、そういう意味においては、いろいろな県で発生したときに、その県とかかわりのある人材がいるかいないかということも極めて必要でありまして、そういう人材についてちゃんと把握できているかどうかということも重要なんだろう、このように思います。
その日その日に機敏に対応しながら判断していけるかどうかがかなり勝負でありまして、当時もたくさんの避難場所が駐車場等々にもできた、それを十分に実は県が把握していないけれども、そこからSNSで発信がされていて、それを捉まえているNGOもいました。そういう彼らとの連携もしながら、こういう場合は被災自治体も被災していますから、かなり国が前面に出ていく必要もあるんだろう、このように思いますが、そうした経験も踏まえながら、また委員からの御指摘も踏まえて、ベストな体制を組んでいくように努力をしていきたいと思います。
赤羽委員 どうもありがとうございます。熊本地震の新たにとられた措置について、改めてやはり総括をしながら、よりよい体制をつくっていただきたい、また私たちもしっかりと取り組んでいきたい、こう思っております。
次に、昨年秋から、高齢者の方の運転による交通事故が大変相次いでおります。このことについて、安全運転サポート車、仮称ですけれども、この推進政策について質疑を進めたいと思います。
この事故の原因の多くは、警察庁の調査によりますと、ブレーキとアクセルの踏み間違いなどの操作ミスが大半であったという報告がされております。
これに対して、自動車メーカーも、また自動車装備メーカーも、自動ブレーキですとか、ペダル踏み間違え時の加速抑制装置ですとか、開発をしっかり進めているところでございます。
私が改めて驚いたのは、新車においては、自動ブレーキの装備は四五・四%、ペダル踏み間違いのときの加速抑制装置は三五・九%と、かなり高い状況で装備をされている。しかしながら、例えば自動ブレーキも、対車両に対するブレーキはかなりきくけれども、対人、対歩行者に対して自動ブレーキというのはなかなか難しい。それは素人の私もそうだろうなと。加えて、各社が装備しているブレーキ類の性能も相当まばらだというのが現状だということでございます。
国としてぜひ、性能の安全基準、統一の基準をしっかり定めて、そして私は、高齢者のドライバーの皆さんには、この自動ブレーキですとか加速抑制装置は、義務づけというと役所は答えにくいと言われるんだけれども、それはしっかりつけてもらうように。
かつて、ETCを装備するときに大変大胆な補助金をつくり、そして今、高速もETCを使用すると相当メリットがある。これは相当効果が出たと思いますが、今、こうしたことを相当可及的速やかにとるべきだというふうに思っておりますが、国土交通大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
石井国務大臣 委員御指摘のとおり、自動ブレーキやペダル踏み間違い時の加速抑制装置といった先進安全技術は、高齢運転者による交通事故の防止や事故時の被害軽減の効果が期待をされます。
このため、国土交通省では、先進安全技術を搭載した自動車の普及啓発を図るべく、関係省庁とともに副大臣等会議を設置いたしまして、昨日、第一回の会合を開催したところであります。これらの先進安全技術は、現在進化の途上にございますので、一定の安全効果が見込まれる水準に達した装置から統一の基準を策定すべく、今後検討を進めてまいります。
また、市販車の性能を比較、公表する自動車アセスメント制度による先進安全技術を活用した装置の性能評価を一層拡大していくほか、ユーザーに対する啓発、導入促進のための方策につきましても幅広く検討を進め、先進安全技術を搭載した自動車の普及を図ってまいりたいと存じます。
赤羽委員 この自動ブレーキですとか自動走行については、目の前の問題として高齢者の運転の事故対策という問題と、中長期的に、これは経済成長につながる、また、人手不足を解消するとか、過疎化地域の公共交通の担い手となるとか、さまざまな展開が考えられると思います。であるがゆえに、各自動車メーカーもその技術開発に余念がないところであります。
エコカー減税というのがとられて十年たっていないわけですけれども、エコカー減税は、実は、これをとられて十年たたずして、今の新車の九割以上がエコカーになった。同時に、燃費も格段によくなっているんですね。やはりこうした設備投資というか投資減税的なものというので相当効果が出た。これに倣って、セーフティーカー減税というような、減税がいいのかどうかというのは別にして、やはり研究開発が加速できるような国を挙げての支援策が相当大きな効果をもたらすというふうに私は思っております。
この点、これからの日本の製造業、さまざま、アメリカに車を輸出しにくくなるかもしれませんし、そんなときにも、世界じゅうのメーカーに追随されないような技術開発というのは、私たちは日本にとって大変大事だと思います。この点について、国を挙げての支援策について、ぜひ総理御自身の御見解をいただければと思います。
安倍内閣総理大臣 委員御指摘のとおり、自動運転技術は、我が国の自動車産業の国際競争力を維持する鍵であるとともに、高齢者の安全な運転を支援するものとなることが期待されるわけでありまして、特に、事故防止の効果が期待される自動ブレーキなどの先進安全技術を搭載した安全運転サポート車を速やかに普及させていきたいと考えています。
昨日、私の指示を受けて、安全運転サポート車の普及に向け、経産省、国交省など関係省庁の副大臣等による会合が開催をされました。この会合では、先進安全技術の普及に向け、高齢者の方がこうした技術について知り、体験する機会が少ない、安全技術を搭載するには追加コストがかかる、搭載されている車が限られている等の課題が指摘をされました。
こうした課題を乗り越えるための総合的な対策の検討を集中的に行い、その方向性を年度内に取りまとめていく考えでありまして、このような取り組みを通じて、自動運転技術の開発を促進し、高齢運転者の交通事故の防止に向けて政府一丸となって取り組んでいく考えでございます。
赤羽委員 力強い決意、ありがとうございました。
以上で終わります。