2007/4/10

経済産業委員会
○赤羽委員

 公明党の赤羽一嘉でございます。  まず、本日は、三名の参考人の皆様におかれましては、大変お忙しい中、御足労を賜りまして、また、大変貴重な御意見をちょうだいいたしましたことを心から感謝申し上げたいと思います。  陳述の時間も十五分ずつで、多分大変短くて十分じゃなかったんじゃないかと思いますし、また、質疑の方も二十分と限られておりまして、大変恐縮でございますけれども、何点かに絞らせていただいて質問をいたしますので、手短に、適切な御答弁をいただきますようによろしくお願いいたします。

 まず古川先生に御質問させていただきますが、日本型ものづくりイノベーションを目指すということは、やはりこれから大変重要な方針でありますし、今の政府・与党の中での中心的な考え方であるとは思いますが、一方で、今の学生の理科系離れというか工学部離れというものが大変顕著である。これは、日本に限ったことではなくて、この前、シンガポールのリー・シェンロン首相とも会ったときに、シンガポールですらそうだなんという話でもあったんですが、こういう国として日本型ものづくりイノベーションを担おうという政策は上がっても、その政策を推進する人材をどう育てるのかというのは、これは経済産業省というより文科省の政策でもあると思いますが、先生は学術会議のメンバーでもいらっしゃいますので、その点についての御所見を、大変大きな問題で手短にというのは恐縮なんですが、お答えをいただけますでしょうか。

○古川参考人 今から十数年前を思い出していただきますと、若者の製造業離れというのが大問題になりまして、それは三K問題といって、危険、汚い、きついということで、若者がものづくり業、当時製造業と言っていましたけれども、そこにつかない。  しかし、それはなぜかというと、当時の社会情勢からすると、現場のものづくりにつくと、まず、勤め先が都心ではなくて地方圏になってしまう、それがおもしろくない、そういう風潮がありましたし、都心にいる方が、リビングコンディションもいいのにもかかわらず給料も高くなる、さらには社長にもなる可能性が高いということであったと思います。  しかし、それが随分この十年間で直ってきたんですが、ここへ来てまたまた理系離れということが話題になっていますし、理系の力が落ちているということが問題になっております。  これは、国では、基本的には、ゆとり教育の改善並びに教育再生会議で抜本的な検討をしていただいているところで、私がそれ以上に言及するつもりはありませんが、私自身、エンジニアリングスクールを担当している者としては、やはり、最高学府である大学が実際の社会と連携している人材を輩出している、そして、その人たちが社会で活躍しているというのを見せることによって、なるほど、ものづくりに携わる人間は喜びがあるということを見せる必要があると考えています。  そのための一つとして、先ほど申し上げましたように、平成十五年来、文部科学省さんでは専門職大学院設置基準というのを設置されましたので、それに基づいて私どもは技術経営系専門職大学院というのをつくっているわけでありまして、この卒業生、修了生が社会に出てどんどん活躍し、そしてそれが社会で評価されれば、あっ、なるほど、ものづくりにつくということは、つくる喜びがあるし、会社経営もできるんだ、トップにも立てるんだということが実証されることによって、若者はすぐに戻ってくるのではないかというふうに、若干楽観かもしれませんけれども考えています。
○赤羽委員

 あともう一点、古川先生に、ちょっと別の点で確認をさせていただきたいんですが、サービス産業の生産性の向上、これが大きなテーマとして、今回も産活法の改正の中の主眼の一つでもあるというわけなんです。  先生の先ほどの御陳述の中でもサービス産業にもいろいろあるというお話があったかと思うんですが、例えば、我々が利用者として、タクシーなんというのはもう少しサービスのレベルアップをする余地があると思うんですね。ちゃんと最短の道に行ってくれるのかとか、乗りたい車に乗れない現実をどうするのかとか、そういうことによって、もう少しサービスの質の向上というのは期待できると思うんです。

 サービス産業の生産性の向上という話のときによく出てくる指標が労働生産性の上昇率、先ほどのお話にあったとおりなんですね。ここは、どちらかというと、このサービスをどれだけ手間暇かけずにやるかということが出てきてしまうんだと思うんです。何か、私は、サービス産業の生産性の向上というと、人数を少なくやれるからいいということが製造業とサービス業で少し違うのではないかという感じを持っているんですね。私の言いたいことがちょっと正しく伝わっているかどうかあれなんですが。

 ですから、サービスをレベルアップさせるということも大事だし、ユビキタスですとかを利用してまだまだ余地はあるというのは、私は別にそこは同感なんですが、その辺の、今の労働生産性の上昇率みたいなことだけで、本当に目指しているものがどうなっているのかということの指標として十分なのかどうかということを、私ちょっとそこに疑問を持っているものですから、御教示いただければと思います。

○古川参考人

 今赤羽議員御指摘の点は、確かに私もメモの中にも書きましたが、サービス産業において労働生産性だけを配慮していいのか、サービスというものは受ける側の感じですから、カスタマーズ・サティスファクション、CSの観点を重視しなければいけないということだと思います。

 しかし、最終的には、例えばこういうマイクロホンというプロダクトをつくっても、あるいはマッサージをしてもらったとしても、どちらにしても、それの享受できるよさで価格というのは決まってくる。マーケットプライスとしては市場原理に基づいて決まってくるわけですから、それはサービス産業であろうとハードウエア産業であろうと同じことであろうと思います。

 そういった意味で、最終的な評価をしていくのに、大きな指標値としては、労働生産性ということをターゲットに上げるということは、これは経済学としてはやはり必然であろうと私は思います。

 しかし、先生の御指摘のように、では、単に、労働生産性が製造業に比べてサービス産業が同じではない、それはちょっと低いねというときに、それを全く同じにしろということを目標にするわけではなくて、なるべく高くはしなければいけないけれども、高くするときに、それぞれのサービスを受ける人の固有のカスタマーズ・サティスファクションをも考慮した生産性向上を考えなければいけないというふうに考えております。

○赤羽委員

 どうもありがとうございました。  次に、福間さんにお伺いをしたいわけなんですが、先ほどの陳述で、斐川町は農業が豊かなところだったんだけれども、減反政策で農業がだめになり、人口減少になって過疎化が進み始めたと。こういった状況の地方公共団体というのは物すごい多いと思うんですね。だからどれも条件が似ていて、しかし、その中で、企業立地が成功する、ブレークスルーしたところというのは非常に限られている。

 先ほどの福間さんのお話では、斐川町はアフターサービスが非常にいいということがブランドとして確立した、こうおっしゃられるんだけれども、多分、アフターサービスがいいというぐらいのことはどこの地方公共団体でも、まあ、そこに相当差があるのかどうかということもお聞きしたいんですが、私は、そんな難しい話じゃないんじゃないかと。そのアフターサービスのことも考えられないぐらい地方というか役人というのはずれているのかなとびっくりするぐらいの話なんです。

 ただ、アフターサービスがよくてもなかなかブレークできないというか、企業立地を阻むものというのはどんなことがあるのか、許認可とかいろいろあるんだと思うんですが、その点について、全国押しなべて同じような状況の中で、斐川町以外のところでここまで成功したという例は非常に少ないのはわかるんですが、ほかがなかなかうまくいっていない現状の壁というのはどういうことなのか、御指摘をいただければと思います。

○福間参考人

 厳しい質問でございますけれども、我々、アフターサービスといいましても、例えば飛行機のチケットがとれないということからもそういうきめ細かなサービスをやっています。

 企業誘致の一番根本は、相手の企業の役員さんと何回会うかなんですね。私のところが富士通と十年つき合ったのも、何か話題を持っていかないといかぬわけでございます。したがって、我々も、正直言いますと、酒を飲むこともいいんですが、出雲というか斐川へ行くと、島根へ行くと、何とおもしろい話題をいっぱい出すなと。そこのスタンスなんです。だから、我々も朝四時から起きて雑学をいっぱい勉強するんですよ。それで、出雲大社は、歴史はもちろん語りますけれども、もっとユニークな話もいろいろします。それから、地場企業でこういう商品を開発しておられますがいかがなものでしょうかというような、もう営業そのものなんです。

 それを、一回、二回会ってだめだったからあきらめるのがほとんど全国の事例だというふうに思っております。  以上です。

○赤羽委員

 それでは、ちょっと視点を変えて。  国では産業立地政策というのはこれまで数多くやってきた、頭脳立地法とかテクノポリス法とか特定産業集積活性化法とか。余りいい結果が出ていないという評価、いろいろな評価があると思うんですが、なかなかいい結果が出ていない。だから今回も、企業立地に関する法を今審議しておるわけですけれども、これはまた成功するのかどうかというまゆつばなところがあるわけなんですね。

 国、経済産業省としては、今までは国が関与し過ぎたから、地方の主体性をということを今回の法律の売り物にしているというんですが、地方公共団体から見て、今までの国の産業立地政策がうまくいかなかったというのはどういうことにあるのか、経産省の役人が今いますけれども、聞こえていないと思いますので、ちょっと率直に御答弁いただけたらと思います。

○福間参考人 私のところでは、経済産業省の法律の中で、先ほど申し上げたように産配補助金ということが一番有効、かつ利用させていただきました。頭脳立地等とかいろいろあったわけでございますが、私が最初に申し上げましたように、やはり国の新法、こういう補助金ができますと、それに頼るというイメージの地域が多いんですよ。  僕が言いますのは、最初言ったとおり、この法律をきっかけにもう一回、地域はどうあるべきか、どうすべきか、本当に議論、議論されないとだめなんですよということなんです。国の法律、補助金があるからといって成功する、それは、民間企業でも補助金をもらって商品ができてもすぐ売れないと一緒なことでございまして、今こそ行政マンを中心にして本当の意味のこの地域をどげんするかという徹底議論をされないと、私から言いますと、でない地域はもうだめでしょうなと。はっきりわかるんですよ、僕らが見ておっても。遊びじゃないんですからね、生きるということは。  それでは、済みませんけれども。
○赤羽委員 それで、先ほど福間さんのお話の中で、県を越えた産業集積ということが今後求められるんじゃないかと、私も全くそうだと思うんです。  今、今回の法律で地方がそれぞれやる仕組みができた、都道府県単位だったと思うんですが。それはそれで、活性化して頑張ることはいいことなんだけれども、私は、ちょっと国の産業政策としてどうなのかなと。国としてこの地域にこういった、例えば、私は神戸なんですが、今神戸とか大阪とか京都では先端医療産業都市構想というのをつくろうというような国のインテンションがあるんですね。その中でやっている、私、そういうことというのはすごく大事なんじゃないかと思うんですよ。何か中国地方ですごい産業集積していて、そこは島津製作所とか村田製作所がやるんですけれども、四国でも似たようなことをやっているとか、本当にそれが国総体として効率的なのかどうか。  これは福間さんに聞くことじゃないかもしれませんが、もう少し、広域性というか、国としての調和をとった産業政策ということを私が言うと、経済産業省は、それをやってきて失敗してきたと。ここはなかなか私も結論めいたこと、すとんと落ちているものがないんですが、御回答じゃなくてもいいんですけれども、その辺に関しての御所見があれば。
○福間参考人 なぜ中国管内で情報をいただきたいかといいますと、村田製作所も物すごい技術者がおるんですよ。だけれども、こういう加工をもっと合理化する加工機械がないかとか、こういうものがないかという問いがあるんですよ。普通、今まではそれが島根県内になきゃ、ないで終わっておったんですけれども、私が言いたいのは、島根県にこの技術がないなら中国管内にあらへんかと、それを中国産業局の方からでも教えていただきたいがということ。  それから、将来を考えてみますと、もう島根県にどんどん企業が来るわけがないんです。そうすると、今高速道路がどんどん整備されますと、岡山県にいい企業があればそこへ通わぬといかぬという若者が出てくるんですよ。そのところを容易にしなきゃ、今までの島根県だけで若者定住なんということよりは、もう何年後を考えたら、高速道路もできますから、今出雲から岡山に二時間で行くわけですよ、土日は出雲へ帰ることができるんです。そういうことも視野に置いて若者に生き生きしてもらいたいのが我々の考え方なんです。
○赤羽委員

 それでは、ちょっと時間も限られていますので三宅さんにお伺いしたいんですが、この今の成功した事例、まず熊野の竹田ブラシの件ですけれども、私も実は政治家になる前は商社で仕事をしていたものですから、なかなか大ヒット商品というのはめったに出ないんですね。めったに出ないから大ヒットというので、年じゅう出ていたら大ヒットではなくて。今回も経済産業省は五年間で千の企業をつくるというから、そんな無理するな、そういうことを言っているから千に三つだと言われるんだと僕はこの前も言ったんですが。

 まず、この事例を読んでみますと、私が見る限り、やはりこのブラシは、クリスチャン・ディオールとかシャネルのOEMとして実際にもう使われていた、マーケットの実態があったので、だから独立ブランド化するのがうまくいったのではないか。幾らいいものでも、全く世の中に商品として出ていないものを育てるというのは本当に難しいというのを僕は自分の体験としても持っているんです。

 その点、この熊野の竹田ブラシの成功の要因というのは、幾つもあったと思いますが、今の点についてはどうなんでしょうか。ほかに、いろいろ手がけていて、成功されている例もあれば恐らくまだこれからの例もたくさんあるんじゃないかと思いますが、その点と比較しながら、簡単に教えていただければと思います。

○三宅参考人 例えば、広島の熊野の事例でいきますと、シャネルとかディオールとかのブラシをつくっていても、それは全く名もないブラシで、しかも十円、二十円という非常に低額のものですので、ブランドとして価値のある非常にいいブラシではなかったんですね。  実際に、もちろんサポートするのにもいろいろ苦労はありますけれども、やはり、何とかしたい、物すごくやる気のある地方の中小企業というのはすごくたくさんあるんですね。それが埋もれてしまって世の中に出ていないから、今回は、きちっとそれを世の中に出していくための仕組みをつくろうということだと思うんです。  私は、逆に、五年間で千の事業というのは少ないんじゃないかなと思うんですね。といいますのが、やはりある程度、五年間で千、私はもっともっとあるし、できるはずだと思うんですけれども、その事業というのは、実際に、みんなをもっとやる気にさせるための一つの大きなフックになるんじゃないかと思うんです。これが、難しいんじゃないか、できないんじゃないかということになりますと、どうしても当事者がちょっと足踏みしてしまう、そういうことにもなってしまいますので、逆に、私は五年間で千どころか四千でも五千でも出てくるんじゃないかなと。  ただ、それは、仕掛け人が必要ですので、この仕掛け人というのは、商社も仕掛け人ですし、また、先ほどからちょっとお話しさせていただいているように、物があっても、これがちゃんと世の中に出ていけるような、みんなに認知されるようなものにしていくというのは、やはりブラッシュアップがすごく必要で、このブラッシュアップをするというのも仕掛け人だと思うんですね。  今回は、そういう人というものが物すごく大きなテーマになってきますし、今までは、人が、サポートする人材も育成されていなかった、またサポートするという組織もなかなかなかった、だから商工会とか商工会議所レベルでサポートするしかなかったんですが、今回は国が横断的に支援しようよということですので、手を挙げるところというのはすごくたくさんあるんじゃないかと思われます。
○赤羽委員

 今、まさに仕掛け人がやはり大事なんだろうなと。なかなか、これは、私、この前ちょっとこの委員会で質問で申し上げたんですが、今回も地域中小企業サポーターというのを任命した、この人たちも本業は持っているわけで、本業を持っていて講演するような話だけだと。やはり、まさに生きるか死ぬかで企業というのはやっているわけだと思うんです、余力があって何か片手間でやっているのでは当然ないわけで、片手間でやるようなところは、生き残れないし成功もしない。ですから、どう仕掛けるかということ、その仕掛け人をどう育成するかということは非常に、ここは本当に難しい問題、それが職業として成り立たなければいけないということだと思うんです。

 私はきのうも経済産業省の担当のところに言ったんですけれども、要するに、経産省がこういういろいろなアイデアをつくって全国に投げる、そうすると、地方公共団体の役所と温度差があるのでなかなかそれが活用されないみたいなことを繰り返してきたんじゃないか、ですから、経済産業省の中にこういう地域おこしグループみたいなのを、三十人ぐらい、手を挙げさせてグループをつくって、それで地方に三年間行ってこい、予算は、幾ら使ってもいいというのは、経産省の予算が限られているので、幾ら使ってもいいということにはならないけれども、やってこいというようなことをやはりやらないと、その本気度というのは伝わらないんじゃないか、こう思うんです。

 ちょっとこれは、福間さん、地方公共団体にいた立場として、そんなことを、今の私のアイデアなんかをやると、どうでしょう、中央から役人が来たらややこしいだけでしょうか。最後にお伺いします。

○福間参考人 それと同じ話を僕は思っておるんですよ。例えば、島根県職員は、教員とか警察官、一万人おるんですよ。要するに、飛び込み営業マンは生まれ持った素質があるんですよ、それを見つけて、反対に、島根県から営業に歩かせる。村田の人事課長を二十年ぐらいやった人は、一分、二分の面接で、彼は飛び込み営業マンができる、だからいい商売人になるということがわかるんですよ。だから、そういう逆転発想でもしていかなければ地域は勝てないと私は思っています。  以上です。
○赤羽委員 どうもありがとうございました。